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Channel: 糖質制限 | スロトレ実践報告ブログ
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テレビ番組でも糖質中毒を紹介し始めた

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先日、テレビで「ザ!世界仰天ニュース」を見ていたら、糖質中毒が紹介されていました。

見たと言っても、ほんの数分しか見なかったのですが、その数分間で、甘い物を我慢できなくなった女性のことが取り上げられていました。

数年前から、糖質の中毒性が話題になってはいたのですが、テレビでその内容が放送されたことはほとんどなかったのではないでしょうか?糖質の害を紹介することは、スポンサーになっている食品メーカーに悪い影響が出ますから、テレビ局としてはあまり使いたくないネタだと思います。

でも、時代は変わったもので、とうとうゴールデンタイムのテレビ番組でも糖質の害が紹介されるようになりました。

30分も甘い物を我慢できない

「ザ!世界仰天ニュース」で紹介されていた糖質中毒の女性は、電車に乗っているわずかな時間も、甘い物を我慢できなくなっていました。

その女性は、仕事終わりに買った10個ほどのドーナッツを電車に乗っている30分間に全部食べてしまうほどの糖質中毒でした。無性に甘いものが食べたくなり、そして、食べ終わると幸福な気持ちになるのですが、また少し時間が経てば甘い物が欲しくなります。

甘い物は糖質がいっぱい含まれていますから、食べるたびにインスリンの大量分泌が起こって、体に入った糖質は脂肪となり体重が増加します。もちろん、番組で紹介されていた女性も体重が増えていました。

セロトニン・ブースト

甘いものに限らず、糖質が多く含まれている食品を食べると幸福な気分になるのは、セロトニン・ブーストが理由と考えられます。

セロトニンは、脳で作られるホルモンで、ストレスを緩和し幸福感を与える働きをすることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。セロトニンは、糖質を摂取すると分泌されやすくなることから、糖質を食べてセロトニンを分泌させることをセロトニン・ブーストといいます。

糖質を摂取すると、すい臓のβ細胞からインスリンが分泌されます。インスリンは血中のブドウ糖やアミノ酸を細胞に取り込ませる働きをします。しかし、トリプトファンというアミノ酸はインスリンが分泌されても細胞に取り込まれません。

そのため、血液の中がブドウ糖やアミノ酸で渋滞しなくなるので、トリプトファンはスムーズに血液脳関門を通って脳に達しセロトニンが作られやすくなります。これが、糖質を食べると幸福に感じる仕組みと考えられています。

幸福感を得られるのなら、糖質摂取は良いことのように思えます。

でも、糖質摂取で無理やりトリプトファンを脳に送り込んでセロトニンを作っていると、体内のトリプトファンが減少し、本当に必要な場面でセロトニンを作れなくなるのではないか不安になります。以前にも、以下の記事に書きましたが、甘い物を食べることが、うつ病の原因になっているんじゃないかと思うんですよね。

 

人間は、糖質を摂取しなくても生きていけます。そして、糖質摂取で快楽を求める行為は不自然に思います。

快楽を求めて高インスリン血症になり、様々な病気にかかる方が苦痛じゃないですか。


糖質制限ですい臓β細胞が廃用性萎縮するわけがない

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世の中には、糖質制限批判が数多くあります。

糖質制限をすると糖尿病になるとか。

糖質を摂取しなければ血糖値が上がらないのになぜ糖尿病になるのか、言っている意味が分かりません。でも、糖質制限批判者の中には、糖質制限をすると糖尿病になると言う人がいます。

どうも、彼らは糖質制限をすると、血糖値を下げるインスリンを分泌するすい臓のβ細胞が機能を失うと思っているようです。

糖質摂取以外ではインスリンが分泌されないと思い込んでいる

糖尿病は、上がった血糖値を下げられなくなる病気です。

糖質を摂取すると、ブドウ糖が血管の中に入り血糖値が上がります。すると、β細胞からインスリンが分泌され、血糖(ブドウ糖)は筋肉や脂肪組織に取り込まれ、血糖値が下がります。

しかし、肥満している人は、脂肪組織がもうこれ以上血糖を取り込めなくなって血糖値を下げられなくなるインスリン抵抗性を惹き起こすことがあります。また、上がった血糖値を下げるために頻繁にインスリンを分泌していると、β細胞が弱ってインスリンの分泌量が減ってしまうインスリン分泌不全にもなります。

どちらも、糖尿病と呼ばれる状態ですが、怖いのはインスリン分泌不全です。

インスリン抵抗性は痩せれば改善できますが、β細胞は壊れると回復しないとされています。そのため、インスリン分泌不全は改善できないと言われているんですね。

インスリン分泌不全が、β細胞を酷使することで起こるのですから、できるだけインスリンを分泌させないことが大切です。そのため、インスリンを大量分泌することになる米、パン、麺類など炭水化物(糖質)が多く含まれる食品を食べないようにする糖質制限食が、糖尿病の予防や糖尿病の悪化を防ぐのに有効だと言われているのです。

ところが、糖質制限批判者は真逆のことを言います。

人間の機能は、使わなければ退化するので、どんどん使う必要があると。だから、糖質制限は、β細胞がインスリンを分泌するのを妨げるので、その機能を失い廃用性萎縮するのだと。

しかし、この理屈は間違っています。

なぜなら、糖質を摂取しなくてもインスリンは分泌されるからです。

インスリン基礎分泌

まず、インスリンは常に分泌されていることを知らなければなりません。

すい臓のランゲルハンス島にはβ細胞の他に血糖値を上げるグルカゴンを分泌するα細胞とインスリンとグルカゴンの分泌を抑制するソマトスタチンを分泌するδ細胞(デルタ細胞/d細胞)もあります。

これら3種類のホルモンがすい臓から分泌され、血糖値は一定の水準に保たれているのです。

そして、インスリンは常に少量が分泌されて、血糖値が上がり過ぎないようにしています。これをインスリン基礎分泌と言います。

さらに人間には、各種ホルモンの分泌のピーク時刻があり、それにより時の経過を知ることができます。これを概日周期(サーカディアンリズム)と言います。インスリンは午後5時に分泌のピーク時刻を迎えるとされています。別に糖質を摂取しなくても、インスリンは分泌されるわけですね。

タンパク質摂取でもインスリンは分泌される

また、タンパク質を摂取した場合も、β細胞からインスリンは分泌されます。

 

こんなことは生理学の初歩的な知識なのですが、糖質制限批判者は、糖質を摂取しなければインスリンが分泌されないと思っているようです。だから、糖質制限をするとβ細胞が廃用性萎縮すると言いだすんですね。

もしも、彼らの言っていることが正しいのなら、毎日、米やパンなど糖質を多く含む食事をしていると、血糖値を上げる必要がなくなるのでグルカゴンを分泌するα細胞が廃用性萎縮するはずです。しかし、そんなことは起こっていません。もしも、高糖質食でα細胞が廃用性萎縮するのなら、多くの人がα細胞の機能を失っているでしょう。

他にも、糖質制限をしているとα細胞が血糖値を上げるためにグルカゴンを大量に分泌して、逆に高血糖となり、糖尿病を発症すると言う人もいます。

なんで?

先ほども述べましたが、すい臓のランゲルハンス島には、インスリンとグルカゴンの分泌量を調節するソマトスタチンを分泌するδ細胞があるのですから、α細胞がグルカゴンを出しまくることはないと、普通はわかるでしょうに。

 

糖質制限を批判する人は、以前よりも減っていますが、それでもまだまだ多いですね。

もっともらしいことを言ったり、専門用語を並べたりして、糖質制限を批判されると、それが正しいように思えてきます。でも、生理学や生化学の入門レベルの知識があれば、「なんかおかしいぞ」と気付きます。

情報化社会が進展すると、多くの情報が入ってくるので、何が正しくて何が間違っているのか判断するのが難しくなります。情報化社会になると情報を探す手間が省けると思っていましたが、以前よりも勉強しなければならなくなったので、逆に時間がなくなっています。

なんか、おかしいですね。

参考文献

糖質制限は運動競技に不利になる?

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糖質制限をすると、エネルギー源であるブドウ糖の摂取量が減るので力が入らなくなる。

こういう噂を聞いたことがある人は多いと思います。糖質制限をすると筋肉が減るという噂もありますね。

このような噂話を聞くと、スポーツをしている人が糖質制限をすれば、本来の力を発揮できないのではないかと思ってしまいます。

でも、この噂、本当なのでしょうか?

糖質制限をしても運動に問題ない

2018年9月9日に大坂なおみ選手が、テニスの4大大会で優勝しました。

これは、日本人では初めてのことで、あるテレビ番組では、人類が月に行ったのと同じくらいの快挙だと絶賛していました。

その大坂なおみ選手。

THE ANSWERの「大坂なおみ、今度は『ティーン・ヴォーグ』が特集 食生活は『炭水化物はとらない』」の記事で、こんなコメントが掲載されていました。

「日本で楽しみにしているもの? たくさん素晴らしいご飯ものがあるの。でも、大会前は炭水化物を摂取することは禁じられているの。だから、ちょっと悲しい。でも、最低一回は美味しいご飯が食べたいわ」

これって糖質制限じゃないですか。

糖質制限をしたら、力が出なかったり運動できなかったりするんじゃなかったの?

大坂なおみ選手は、大会前に炭水化物の摂取を禁じられていたのにテニスの4大大会で優勝してるんですけど。運動できないどころか世界一になっているんですから、糖質制限が運動に不利になるとは言えなくなりましたね。

糖質制限批判者は、大坂なおみ選手が特別なんだと反論するでしょうが、「糖質制限をすると力が入らない」とか「糖質制限をすると運動ができない」のような絶対にありえないという主張に対しては、できたことを示す反証が一例あれば十分です。

まぁ、大坂なおみ選手だったら、高糖質食でもグランドスラムを達成していたかもしれませんから、ここでは糖質制限をしても運動に不利にはならないとだけ言っておきます。

自分でやってみないと事実はわからない

糖質制限をすると、力が入らない、脳の働きが悪くなる、疲れやすくなるなど否定的な意見が数多く存在します。

でも、これらの主張をする人は、実際に糖質制限をしたことがない人ばかりですから根拠が怪しいです。おそらく、脳内妄想だけで語っているのだと思います。

糖質制限なんて難しいことではないのですから、実際にやってみれば事実は簡単にわかります。

だから、糖質制限批判者は、糖質制限をさせないように「危険だ!危険だ!」と言うのかもしれません。

実際に糖質制限をしたら、彼らが言っていることが嘘だとばれてしまいますからね。

確かに糖質制限を始めて間もない頃は、体に違和感があります。筋肉が疲れやすいとか、体重が減りすぎるとか、肌が乾燥するとか。でも、これらは、そのうち改善します。

また、大概は普段の食事から米やパンなど炭水化物が多く含まれている食品を抜くだけだから、栄養失調になって体調が悪くなるんだと思いますよ。食事量は減らさず、炭水化物をタンパク質と脂質に置き換えるのが糖質制限です。

食事量を減らせば不調になるのは当たり前。

ダイエット目的で糖質制限を始め、なかなか体脂肪が減って来ない場合には、食べる量を減らした方が良いでしょうけどね。

日本は高齢化が進んでいるから糖尿病が増加している

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年々、糖尿病になる人が増えています。糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人の合計は、厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、2016年で約2千万人だそうです。

糖尿病の原因は諸説ありますが、砂糖業界は年々砂糖の消費量が減っているので砂糖と糖尿病は関係ないと言ってます。また、糖質が多く含まれる米の消費量も年々減っていることから、米を食べても糖尿病にならないと言う人もいますね。

砂糖も米も消費量が減っていますから、これらの主張は正しいように思います。

でも、糖尿病や糖尿病の可能性を否定できない人が年々増え、砂糖や米など糖質を多く含む食品の消費量が減っていると言うだけで、糖質摂取と糖尿病との関係を否定するのは早とちりです。

1997年と2016年の男女年代別人口

単純に全人口の内2千万人が糖尿病というだけでは、分析の指標として不十分です。少なくとも性別と年代別で糖尿病と糖尿病を否定できない人の数がどれだけいるのかを知る必要があります。

1997年と2016年の男女年代別の人口を総務省統計局の人口推計で調べると以下の表の通りでした。

 

性別 男性 女性
年代 1997年 2016年 1997年 2016年
20代 9,570 6,154 9,200 5,874
30代 7,979 7,612 7,798 7,352
40代 9,452 9,479 9,382 9,198
50代 8,436 7,644 8,636 7,600
60代 6,862 8,935 7,494 9,379
70齢以上 4,996 9,978 8,001 14,241
合計(千人) 47,295 49,802 50,511 53,644

 

上の表では、20歳未満の人口を省略しています。糖尿病と糖尿病の可能性を否定できない人の調査結果が、厚生労働省の国民健康・栄養調査結果の概要で20歳以上からしか掲載されていないからです。

上の表のように人数だけを記載しても、どの世代がどれくらい多いのかを一目で理解するのが難しいですね。

なので、20歳以上の人口に占める各世代の割合を男女別に計算し表にしました。

 

性別 男性 女性
年代 1997年 2016年 1997年 2016年
20代 20.2% 12.4% 18.2% 10.9%
30代 16.9% 15.3% 15.4% 13.7%
40代 20.0% 19.0% 18.6% 17.1%
50代 17.8% 15.3% 17.1% 14.2%
60代 14.5% 17.9% 14.8% 17.5%
70齢以上 10.6% 20.0% 15.8% 26.5%
総計(%) 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

 

1997年では男女ともに40代人口の割合が最も高くなっています。しかし、2016年になると70歳以上人口の割合が最も高くなっており、日本が高齢化していることがよくわかります。

糖尿病人口の割合を年代別に比較

次に男女別に1997年と2016年の糖尿病と糖尿病の可能性を否定できない人の割合を見ていきましょう。なお、糖尿病の可能性を否定できない人は、「予備軍」と記載しています。また、以後は、糖尿病の可能性を否定できない人を「予備軍」や「糖尿病予備軍」と表記します。

 

男性の年代別の糖尿病と糖尿病予備軍の割合は以下の通りです。

男性 1997年 2016年
年代 糖尿病 予備軍 合計 糖尿病 予備軍 合計
20代 0.9% 0.4% 1.3% 0.0% 0.7% 0.7%
30代 1.6% 4.1% 5.7% 1.3% 1.5% 2.8%
40代 5.4% 6.8% 12.2% 3.8% 4.7% 8.5%
50代 14.2% 10.1% 24.3% 12.6% 11.1% 23.7%
60代 17.5% 10.3% 27.8% 21.8% 12.5% 34.3%
70齢以上 11.3% 11.5% 22.8% 23.2% 18.8% 42.0%
総計(%) 9.9% 8.0% 17.9% 16.3% 12.2% 28.5%

糖尿病と予備軍の合計は、1997年では60代の27.8%が最も高くなっています。でも、2016年では70歳以上が最も高く42.0%となっています。

 

女性の糖尿病と予備軍についても、1997年と2016年で比較しておきましょう。

女性 1997年 2016年
年代 糖尿病 予備軍 合計 糖尿病 予備軍 合計
20代 0.9% 1.4% 2.3% 1.2% 0.0% 1.2%
30代 1.6% 4.2% 5.8% 0.7% 0.7% 1.4%
40代 5.3% 7.7% 13.0% 1.8% 5.1% 6.9%
50代 7.1% 10.4% 17.5% 6.1% 9.7% 15.8%
60代 10.6% 8.8% 19.4% 12.0% 15.2% 27.2%
70齢以上 15.5% 12.4% 27.9% 16.8% 20.2% 37.0%
総計(%) 7.1% 7.9% 15.0% 9.3% 12.1% 21.4%

女性の場合は、1997年も2016年も70歳以上が最も糖尿病と予備軍の合計が高く、前者が27.9%、後者が37.0%です。

年代別に男女の糖尿病人口を推計

ここまでの情報で、男女ともに年代別の糖尿病と予備軍の人数を推計できます。

 

男性の年代別の糖尿病人口は以下の通りです。

男性 1997年 2016年
年代 糖尿人数
(千人)
割合
(%)
糖尿人数
(千人)
割合
(%)
20代 124 1.8% 43 0.4%
30代 455 6.7% 213 2.1%
40代 1,153 16.9% 806 8.0%
50代 2,050 30.0% 1,812 17.9%
60代 1,908 27.9% 3,065 30.3%
70齢以上 1,139 16.7% 4,191 41.4%
総計 6,829 100.0% 10,129 100.0%

上の表を見れば、男性は、1997年から2016年までの間に糖尿病人数が最も増加している世代は70歳以上だと気付きます。

 

こちらは女性の糖尿病人口を年代別に記したものです。

女性 1997年 2016年
年代 糖尿人数
(千人)
割合
(%)
糖尿人数
(千人)
割合
(%)
20代 212 3.0% 70 0.7%
30代 452 6.4% 103 1.0%
40代 1,220 17.2% 635 6.5%
50代 1,511 21.3% 1,201 12.2%
60代 1,454 20.5% 2,551 26.0%
70齢以上 2,232 31.5% 5,269 53.6%
総計 7,081 100.0% 9,829 100.0%

男性と同様に1997年から2016年までで、女性の糖尿病人口が最も増加しているのは70歳以上です。しかも、2016年は、この世代の2人に1人以上が糖尿病か糖尿病予備軍で、かなり深刻な状況だとわかります。

年齢が上がるほど糖尿病人口が増える

1997年と2016年の糖尿病と糖尿病予備軍の男女別年代別の人数を見て、ざっくりわかるのは、年齢が上がるほど糖尿病になる確率が高まるということです。

そして、1997年よりも2016年の方が、全人口に占める70歳以上の人の割合が高くなっているので、この世代で著しく糖尿病と糖尿病予備軍が増加しているのがわかります。

したがって、日本で糖尿病と糖尿病予備軍が増えているのは高齢化が原因だと推測できます。

 

でも、男性は1997年の70歳以上の世代での糖尿病は22.8%、2016年のそれは42.0%であり、同じ世代で比較しているのに糖尿病の割合が2016年の方が高くなっているのはおかしいと思う方もいるでしょう。同様に女性も1997年が27.9%、2016年が37.0%と高くなっていますから、一概に高齢化が糖尿病増加の理由にはならないという反論があると思います。

1997年と2016年の70歳以上の人口をさらに詳しく、70代、80代、90歳以上に分類すると、男女とも2016年の方が80歳と90歳以上の人口の合計が1997年の約3倍になっています。2016年の方が70歳以上で糖尿病の割合が高まっているのは、80代と90歳以上の世代が増え、これらの世代でさらに糖尿病の割合が高まっているからだと推測できます。

性別 男性 女性
年代 1997年 2016年 1997年 2016年
70代 3,594 6,328 5,153 7,544
80代 1,268 3,206 2,457 5,226
90歳以上 134 444 391 1,471
70歳以上合計 4,996 9,978 8,001 14,241

 糖質摂取と糖尿病は関係ないのか?

このように日本の人口を男女年代別に分類して、糖尿病と糖尿病予備軍の割合を調べると、糖尿病の増加は高齢化が原因だと推定できます。

だから、砂糖や米など糖質を多く含む食品を食べようが食べまいが、糖尿病とは関係ないという結論に達しそうです。

しかし、こう結論付けるのはまだ早い。

 

なぜ、糖尿病になるのか?

糖尿病は、上がった血糖値を下げられなくなる病気です。

血糖値は糖質を摂取すると上がります。そして、血糖値を下げるのはすい臓のβ細胞から分泌されるインスリンです。

米のように糖質が多く含まれている食品を食べると血液中に一気にブドウ糖が流れ込み血糖値が上がります。すると、すい臓は血糖値を下げるために多くのインスリンを一気に分泌します。これをインスリンスパイクと言います。

このインスリンスパイクはβ細胞に負担をかけるので、頻繁に高糖質の食品を食べているとβ細胞が疲弊します。インスリンスパイクを繰り返していると、やがてβ細胞はインスリンを分泌できなって壊れてしまいます。そうすると、血糖値が上がっても、血糖値を下げるのに十分な量のインスリンを分泌できなくなるので高血糖状態が持続します。これが糖尿病です。

言い方を変えると、糖尿病とは、β細胞が壊れてインスリンの分泌量が減る病気とも言えます。

そして、一度壊れたβ細胞は再生できないとされています。糖尿病が不治の病と言われるのは、これが理由です。

 

高齢化に伴って糖尿病が増えていくのは、β細胞が壊れた人が増えていくからだと考えられます。長年、米やパンなど糖質を多く含む食品を食べ続けていれば、インスリンスパイクも、とんでもない回数になります。

70代になれば2割から3割くらいの人がインスリンの分泌量が減り、80歳を過ぎれば半数以上の人がインスリンの分泌量が減っていると推測できます。

平均寿命が延びているのですから、すい臓を長持ちさせるように糖質摂取を控えた方が良いですね。

 

ここまで読まれた方は、昔は糖尿病が少なかったのに現代は糖尿病が増えている理由がわかったと思います。昔は寿命が短くβ細胞が壊れるまで長生きできなかったこと、総人口に占める20代から40代の若い世代の割合が高かったこと、これらが糖尿病が少なかった理由だと考えられます。

「砂糖や米の消費量が減っているのに糖尿病が増えている。だから、糖質摂取と糖尿病は関係ない」

こう主張する人は、もうちょっと調べましょうね。

米を食べれば食べるほど栄養不足に陥る

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和食は健康食と言われています。

日本人の平均寿命が長いことから、日本人がよく食べている食事が健康的な食事だと思われているのでしょうね。しかし、和食は、動物性タンパク質が少ないので不健康食の代表のようなものです。和食ばかり食べていれば、タンパク質不足になるのはもちろんのこと、ビタミン不足、ミネラル不足も招きます。

なぜ、和食を食べると栄養不足になるのか?

その理由は、米を主食としているからです。

米ばかり食べると不健康になる

炊いた米は、茶碗1杯が約150グラムで、そのうち約50グラムが糖質です。その他の栄養素は少なすぎて、米だけで1日に必要な栄養素全てを賄うことは不可能です。

だから、1日の食事の中で米の割合が高くなるほど、栄養不足に陥ります。場合によっては、それが死につながることもあります。米ばかり食べて死ぬなんてありえないと思うでしょう。でも、年間200万人が、米ばかり食べて死亡しているそうですよ。

「カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書 上」という本を読んでいると、そのように書いていました。この本は、発酵食品や遺伝子組み換え作物などバイオテクノロジーのことが解説されています。米が低栄養な食品であることは、以下の文章から読み取れます。

米は日本において最重要農産物であり、世界でも約24億人が常食している。しかし、この穀粒には、ビタミンAや鉄、多くの微量元素、重要なタンパク質が欠けているため、もし米だけしか食べないとすると、ひどい欠乏症状を引きおこす。世界の多くの人が急性ビタミンA欠乏症になり、視力、免疫系、血液形成、骨の成長が低下する。研究者によると、これが年間200万人の死亡の原因であり、年間50万人の子どもがビタミンA不足のため失明しているのだという。鉄の欠乏に起因する症状も広く現れており、18億人の女性、特に第三世界の女性にとって貧血は不可避となっている。(377~378ページ)

ここでは、ビタミンAや鉄の欠乏症のことが書かれていますが、米はビタミンB群も微量しか含まれていません、ビタミンB₁₂に関しては全く摂取できません。

米は、人間が主食とするには、栄養素が少なすぎます。だから、米をたくさん食べても、太るだけで健康を維持することはできないんですね。

卵や肉と比較すれば米が低栄養だとわかる

米が低栄養なのは、卵や肉など、他の食品に含まれる栄養素を見れば簡単にわかります。

このブログでも、以前に米、卵、牛肉、豚肉、鶏肉の栄養価を以下の記事で比較しています。

 

上の記事をご覧になったら、米で栄養補給することが難しいことがよくわかるでしょう。

米を主体とした和食が健康食であるわけがないのです。

だったら、米の代わりにパンを食べれば良いと思う人もいるでしょうが、小麦の栄養価も大したことないので米食からパン食に変えることに意味はありません。

米を食べながら、必要な栄養素を十分に補給しようと思うと、卵、肉、魚もたくさん食べなければなりません。しかし、現代の日本人のように糖質を毎日300グラム前後食べていれば、卵、肉、魚でビタミンやミネラルを十分に摂取しようと思うと確実に肥満します。毎日ジョギングをすれば太らないでしょうが、運動が苦手な方だとそれは厳しいですよね。

 

しっかりと栄養を補給して、しかも太らないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

答えは簡単。必須の栄養素、つまり、タンパク質(必須アミノ酸)、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルを優先的に補給する食事をするだけです。

糖質(炭水化物)は必須の栄養素ではないので食べなくて良し。したがって、必須栄養素がほとんど含まれていない米を主食にしてはいけません。

まずは、完全栄養の卵、そして、良質なタンパク源である肉、さらに必須脂肪酸が豊富な魚をヘビーローテーションしておけば、必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルの1日の推奨量の補給は容易です。マグネシウムやカリウムが不足していると感じたら、海藻を食べれば良いでしょう。また、レバーは高栄養なので、1ヶ月に1回は食べたいですね。

ちなみに食品に含まれる栄養素を調べたい場合は、カロリーSlismを使うとすぐにわかりますよ。

 

毎日の食事からっしっかりと栄養を補給したいけど、どうすれば良いの?

そう悩んでいるのなら、米やパンを卵、肉、魚に置き換えましょう。たったそれだけで、今までよりも圧倒的に多くのビタミンやミネラルを補給できますよ。

参考文献

世界糖尿病デーは糖尿病の原因も予防法も伝えていない

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毎年11月14日は、世界糖尿病デーです。日本国内では、全国のランドマークが青色にライトアップされますね。

この日は、1921年にインスリンを発見したカナダ人医師のフレデリック・バンティングの誕生日で、2006年に国連が世界糖尿病デーと定めました。世界的に糖尿病患者の数は増加傾向にあり、その治療や予防の重要性を啓発することが世界糖尿病デーの趣旨だそうです。

でも、日本国内で糖尿病の予防方法は、国民に全く伝わっていないように思います。不摂生をするから糖尿病になるんだと思っている人がほとんどじゃないですか。

ノー炭水化物デーに名称変更した方が効果的

糖尿病は、すい臓のβ細胞が壊れて血糖値が下がらなくなる病気です。

これを理解している人は、おそらく少数だと思います。

「太ってるから血糖値が上がる。だから、痩せれば糖尿病は治る」と思っている人が多いのではないでしょうか?

しかし、糖尿病は痩せていても発症します。β細胞が壊れると血糖値を下げる作用をするインスリンが分泌されなくなります。だから、痩せていても、β細胞が壊れてしまえば糖尿病を発症するのです。

β細胞は、すい臓にたくさんありますから、1個や2個壊れても血糖値を下げられなくなるということはありません。でも、β細胞が壊れていくほど血糖値が下がりにくくなりますから、ちょっとくらい壊れても大丈夫だと思っていると、いつの間にか多くのβ細胞が破壊されていることもあるでしょう。

β細胞が破壊される原因は、炭水化物(糖質)の頻回過剰摂取です。糖質を摂取すれば、誰だって血糖値は上がります。糖質を摂取しても血糖値が上がらないという人は、消化管の機能がおかしくなって糖質を体内に吸収できなくなっているので、それはそれで問題があります。まあ、そんな人は滅多にいないでしょうけどね。

糖質が体内に吸収されると血糖値が上がります。血糖値が上がれば、β細胞はインスリンを分泌して血糖値を下げます。インスリンがしっかり分泌されているうちは、糖質を摂取しても数時間後に血糖値は100mg/dl未満の正常値まで下がります。

ところが、毎日3度も米やパンなど糖質が多く含まれている食品を食べていると、β細胞に負担がかかります。その負担に耐え切れなくなったβ細胞は死んでしまいます。そして、死んだβ細胞は生き返らないとされています。だから、糖尿病は不治の病と言われているんですね。

糖尿病予防のためには、まず炭水化物(糖質)の摂取量を減らさなければなりません。

世界糖尿病デーを「ノー炭水化物デー」に改称した方が糖尿病の予防には効果的でしょう。

糖質摂取が血糖値を上げることを伝える

世界糖尿病デーと言いながら、「β細胞を酷使する糖質摂取を控えましょう」とは言いません。

おかしな話ですね。

「不摂生をして肥満した結果が糖尿病だ。自業自得だろう」

と思っている人が多いでしょうから、ほとんどの日本人が、茶碗1杯の白米や食パン1枚でもβ細胞を酷使していることに気づきません。糖質摂取が、血糖値を上げてβ細胞がインスリンを分泌することを伝えなければ、糖尿病になる人を減らすことは不可能です。

食事制限によるダイエット法を採用してもタンパク質摂取量は減らさない

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痩身のためのダイエット法はいろいろありますが、体重を減らすために最も効果的な方法は絶食です。

絶食すれば、体の中に食べ物が入って来ないので、体重が減りやすいことは容易に想像できます。しかし、絶食は、体に必要な栄養素の補給を絶つ行為ですから、長期間続けると死の危険があります。

だから、痩せるためだけに絶食をするのは、好ましい行為とは言えません。痩せなければ死ぬかもしれないような状況になった場合には、絶食は必要かもしれませんけどね。

断食の欠点

分子栄養学の専門家の三石巌先生の「高タンパク健康法」を読んでいると、断食(絶食)の欠点に関する記述がありました。

同書によると、肥満を気にしていた6人の医学者が、自らの体を実験台として痩せる方法を研究していたそうです。彼らは、まず断食が最も確実な痩身法だという前提から研究を始めます。

しかし、6人の研究者は、断食の2つの欠点に気づきました。

 

1つは、断食すると同化よりも異化が優位となることです。人間の体は、タンパク質の分解と合成を繰り返しながら維持していますが、断食をすると異化、すなわち体タンパクの分解が進んでしまいます。

2つ目の欠点は、水と電解質の喪失です。断食でタンパク質が失われると、低タンパク血症となり浮腫を生じます。血液はタンパク濃度を維持しようとして、水分を血管の外に出し、結果として組織が水膨れになって浮腫を表します。その一方で尿量が増加し、水分の喪失につながります。同時に塩分などの電解質も外に出てしまいます。

 

この2つの欠点を乗り越えて健康的に痩せるためにはどうすれば良いのでしょうか?

タンパク質摂取量は制限しない

6人の研究者が、たどり着いたダイエットに最も効果的な食事制限は、高タンパクを維持したままで、糖質と脂質を制限する方法でした。

1日に70グラムのタンパク質と6グラムの食塩を摂取し、糖質と脂質は控える食事制限であれば、断食特有のマイナス面を克服できることを知った6人は、平常通りに日常活動ができたそうです。6人の1日の摂取カロリーは370kcalで、不足するカロリーは皮下脂肪の燃焼によって得られたとも紹介されていました。

日本では、1日の摂取カロリーを糖質で6割、脂質とタンパク質で2割にすることが好ましいとされています。しかし、この比率で総摂取カロリー減らす食事制限をすれば、タンパク質摂取量が減ってしまうので、断食特有の欠点を生じるのではないでしょうか?

いくらかでもタンパク質を摂取している点では断食より体へのダメージは少ないと思いますが、体タンパクの異化が同化を上回る可能性は否定できません。したがって、糖質、脂質、タンパク質の摂取比率を変えないで食事量を減らすダイエットも好ましい痩せ方とは言えないですね。

優先的に糖質を制限する

タンパク質摂取量を維持するためには、肉や卵などの動物性タンパク質を食べなければなりません。植物性タンパク質は、タンパク質の良質度を示すプロテインスコアが低いので、同じタンパク質摂取量でも動物性タンパク質よりも必須アミノ酸の摂取量が少なくなります。

プロテインスコアの高い動物性タンパク質を優先的に食べると、同時に脂質も摂取しやすくなります。良質なタンパク質補給を優先するためには、脂質摂取もやむを得ないでしょう。

そうすると、食事制限によるダイエットで真っ先に減らさなければならないのは糖質になります。

糖質制限をすればわかることですが、食事量を減らさなくても体脂肪は減ります。糖質制限を否定する人は、糖質制限で痩せるのは水分が体外に出るだけだと言いますが、どのような方法でも、痩せれば水分は外に出ます。人間の体は60%が水分ですから、その比率を維持するためには、減った体重の60%程度は水分でなければ、つじつまが合いません。

 

したがって、まずは食事量を減らさずに糖質摂取量を極力減らすダイエットを試してみましょう。

それで、体重が減らない場合は食事量を減らしていきます。その際も、高タンパクは維持しますから、減らすべきは脂質となります。

つまり、減らす順番は、第1が糖質、第2が脂質であり、タンパク質は減らしてはなりません

 

分子生物学者の福岡伸一先生も、タンパク質摂取が重要だと述べています。

 

分子生物学の立場からは、タンパク質摂取は減らしてはならないということのようですね。

参考文献

糖質制限で体温が上昇するのは褐色脂肪細胞と関係がありそう

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私が糖質制限を始めてから、それまでよりも体温が上昇したことは、以前にこのブログで報告しています。

なぜ、糖質制限をすると体温が上がるのか?

糖質制限をするとタンパク質摂取量が増えるので、その消化吸収でエネルギーを多く使うことが熱を発生させやすくしていると言われています。これは、体温上昇の理由の一つだと思います。でも、タンパク質摂取量の増加だけが、体温上昇の理由ではないでしょう。他にも、糖質制限をすると、多くの要因が組み合わさって、体温が上昇するのだと思います。

それら要因の一つとして、褐色脂肪細胞も体温上昇に関わっているのではないかと思うんですよね。

非ふるえ熱産生の主役は褐色脂肪組織

人間も含めて哺乳類は、熱を生み出す手段として、ふるえ熱産生非ふるえ熱産生という2つの方法を用いています。

日本比較内分泌学会編集委員会の「ホメオスタシスと適応-恒-」では、ふるえ熱産生は骨格筋の周期的な収縮により熱を作りだし、非ふるえ熱産生は骨格筋の収縮によらずに熱を作り出す方法であることが解説されています。

運動をすると、体が温まるのは骨格筋の収縮と関係していますから、ふるえ熱産生に該当します。

一方の非ふるえ熱産生は、肩甲骨間や腎臓周囲などに分布している褐色脂肪組織が、その主役を担っています。

褐色脂肪組織を構成する褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞と異なり、小型で複数の脂肪滴と多数のミトコンドリアを含んでいるそうです。

ミトコンドリアは、生体内でのエネルギー工場の役割を担っている細胞内小器官で、ここで作り出されたエネルギーはアデノシン二リン酸(ADP)にリン酸基をくっつけて格納されます。そして、生み出されるのがアデノシン三リン酸(ATP)です。ATPは電池のようなもので、リン酸基が1個外れると、1分子あたり7.3kcalの熱量を発生させ、ADPとなります。

ミトコンドリアでは、酸素がある限り常にADPからATPが合成され、人間が生きていくためのエネルギーが生み出されています。

褐色脂肪細胞もミトコンドリアを持っているので、エネルギーを生み出しているのですが、作り出したエネルギーはATP合成を経ずに調節に熱へと変換されて散逸消費されるようになっています。

したがって、褐色脂肪細胞のミトコンドリアは、熱産生に特化したエネルギー工場と言えますね。

ホルモン感受性リパーゼが活性化しなければならない

褐色脂肪細胞の機能は、白色脂肪細胞から遊離された脂肪酸の取込みによるエネルギー消費と、それに伴う「熱産生」であることが「ホメオスタシスと適応-恒-」に記載されています。

褐色脂肪組織における産熱メカニズムのもっと詳しい解説は以下の通りです。

寒冷刺激が加わると交感神経の活動が亢進し,交感神経末端からノルアドレナリンが分泌される。これが褐色脂肪細胞の膜表面に局在するβ受容体に結合して一連の産熱反応が開始される.とくに重要なのはβ₃受容体で,Gsタンパク質とアデニル酸シクラーゼが活性化し,cAMPが産生され,プロテインキナーゼAの作用を介してホルモン感受性リパーゼが活性化する.そして,脂肪滴内の中性脂肪から脂肪酸が遊離し,この脂肪酸が酸化分解されて熱源となる.また,プロテインキナーゼAの活性化は,cAMP応答配列結合タンパク質という転写調節因子を介し,脱共役タンパク質1(uncoupling protein 1:UCP1)遺伝子の発現を増加させる.最終的には,UCP1の作用に結びついてエネルギーが熱に変えられる.(205~206ページ)

なんか難しい言葉がたくさん出てきましたが、この文章で注目すべきは「ホルモン感受性リパーゼ」です。

ホルモン感受性リパーゼは、簡単に言うと、体に蓄えた中性脂肪を分解して脂肪酸を作り出す酵素です。過去記事でも解説していますが、ホルモン感受性リパーゼは、インスリンが分泌されると働きが抑制されます。

 

糖質を摂取すると、すい臓からインスリンが追加分泌されますから、ホルモン感受性リパーゼの働きが弱くなります。ホルモン感受性リパーゼの働きが弱くなれば、中性脂肪が脂肪酸に分解されなくなりますから、褐色脂肪細胞では脂肪酸を利用して熱を生み出せなくなります。

糖質制限では、糖質の摂取量を少なくしますから、それによりインスリンの追加分泌も減ります。インスリンの追加分泌が減れば、ホルモン感受性リパーゼが活性化された状態を維持できるので、褐色脂肪細胞は脂肪酸から熱を生み出し続けることができます。

これが、糖質制限をすると、体温が上昇する一つの要因なのだと思います。

成長とともに褐色脂肪組織は退縮する

しかし、褐色脂肪組織は、人間では成長に伴って退縮していくそうです。

褐色脂肪組織の退縮速度には個人差があるみたいですが、誰でも加齢とともに褐色脂肪組織が退縮していき、それに伴って褐色脂肪細胞も減っていくのでしょうね。

だから、糖質制限をして体温が上昇するかどうかは、褐色脂肪細胞がどれだけ残っているかにも影響を受けそうです。

とりあえず、低体温で悩んでいる方は、糖質制限を試してください。褐色脂肪細胞が少なくなっていて体温が上がらなかったとしても、ホルモン感受性リパーゼを活性化しておけば、中性脂肪が減り多くのエネルギーが産生されるのですから、体が疲れにくくなりますし、贅肉も溜まりにくくなりますよ。

参考文献


朝は血糖値が下がって脳が働かないから朝食を食べないとダメという主張は嘘だよね

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毎日、朝食を食べていますか?

朝食は食べないといけないと言う人もいれば、朝食は食べなくても良いと言う人もいます。一体どっちなんでしょうね。

私は、朝はあまり食欲がないので、ハムとチーズを少し食べるくらいです。昼食を食べられそうにない日は、朝から肉や卵をしっかり食べますが、基本的に朝は少食です。

私とは反対に朝はお腹が空いていて、しっかり食べないと昼食前に疲れてしまうという人もいると思います。結局、朝食を食べた方が良いかどうかは、その人の生活習慣で決めれば良いと思うんですよね。

朝に低血糖になる理屈がわからない

朝食を食べるべきだと主張する人は、「朝は低血糖になっているから脳に栄養を送るために朝食を食べないとダメ」と言います。

夕食を食べてから10時間くらい間隔が空いていると、体内の栄養素が不足して脳が働かないということのようです。血糖値が一定以下に下がると低血糖になって意識を失ってしまいますから、低血糖は避けなければならないという理屈はわかります。

しかし、朝食を食べないと低血糖になるかどうかは別の話です。

そもそも、朝に低血糖になっているのなら目覚めることはないんじゃないですか?

目が覚めた時点で低血糖ではないですよね。それなのに朝は血糖値が下がっていると言う理屈がわかりません。

朝はコルチゾールの働きで血糖値が上がる

人間の体には、様々なホルモンを作り出す機能があります。

そして、人間には血糖値を上げるホルモンが多数あります。グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾールなどが、その代表です。

この中でコルチゾールは、ストレスを緩和するために分泌されるのですが、午前6時から8時の間にも多く分泌されます。コルチゾールの分泌のピーク時刻が午前7時から8時とされていますから、多くの人の起床時間と重なっているはずです。

そうすると、朝はコルチゾールの分泌がピークに達しているので、血糖値は下がるどころか上がっているんですよね。

実際、糖尿病の方は、朝にコルチゾールが分泌されて血糖値が上がる暁現象が起こりますから、起床時に低血糖になることは考えられません。

朝食に糖質を摂取するべきではない

朝は脳が栄養不足になっているから朝食を食べなければならないと言う人は、脳の主要なエネルギー源はブドウ糖なので炭水化物(糖質)をしっかり食べるべきだと主張します。

しかし、起床時にコルチゾールが分泌されて血糖値が上がっているのですから、朝食でさらに糖質を摂取して血糖値を上げる必要はないはずです。そんなことをしたら食後高血糖を起こすだけでしょう。

だから、朝食こそ糖質制限食が正解。

 

そもそも、寝ている間に低血糖になった人っているんですかね。糖尿病の方で、インスリンの投与量が多かったとか、そういう特別な事情がない限り、起床時に低血糖になることはないんじゃないですか。

朝食を食べないと低血糖で脳が働かないという主張は嘘ですよ。

糖質制限で糖尿病になると言っている人は糖質コルチコイドの働きを知らないね

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米、パン、麺類など炭水化物(糖質)が多く含まれている食品を食べないようにする糖質制限食は、糖尿病の治療食として、京都高雄病院の江部康二先生が採用した食事療法です。

糖尿病は、上がった血糖値を下げられなくなる病気です。だから、血糖値を上げる原因となる糖質摂取を制限することは理にかなっています。

また、糖質制限をすると血糖管理以外にも、体脂肪が減るという副次的効果があることから、最近では、ダイエット目的で糖質制限をする人も増えていますね。

何かと健康面で良い結果が出る糖質制限ですが、世間に広まると反対派が出てくるものでして、その中には「糖質制限をすると糖尿病になる」と言う人もいます。

血糖値を上げる糖質コルチコイド

糖質制限をすると、外からブドウ糖(グルコース)が入って来ないので、体内でブドウ糖を作り出す糖新生という機能が働きます。

糖新生には、グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモンといったホルモンが関わっており、ストレスを感じた時に分泌される糖質コルチコイドも糖新生に関わっています。この中で、糖質コルチコイドは、石川隆先生監修の「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」で以下のように説明されています。

副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドは、糖代謝に関わるホルモンの総称です。代表的なものに、コルチゾルコルチコステロン、コルチゾンがあります。これらは肝臓での糖新生を促進し、末梢組織での糖利用を抑制することにより、血糖を増加させます。(147ページ)

糖質制限をすると糖尿病になると言っている人は、どうやら糖質コルチコイドの働きを知らないようです。

上記のように糖質コルチコイドが分泌されると、糖新生が促進され、末梢組織での糖利用が抑制されます。つまり、糖質コルチコイドが分泌されると、上がった血糖値は末梢組織での取り込みが抑えられるのです。

糖質コルチコイドが分泌されている時に糖質を摂取すれば、血糖値が上がり、そして、血糖値が下がりにくくなっているのですから、あたかも糖尿病のような状況になっているでしょう。

ストレスを感じている時の糖質摂取はやめよう

糖質コルチコイドは、ストレスを感じた時に分泌されます。

とは言っても、ストレスを感じて、いきなり糖質コルチコイドが分泌されるわけではありません。

ストレスなどの刺激は、まず視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を分泌させます。そして、CRHは、脳下垂体前葉を刺激して、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌し、さらにACTHが刺激となって副腎皮質から糖質コルチコイドが分泌されます。

ストレスを感じた時は、甘いものを食べるとリラックスできると言われています。しかし、ストレスを感じて糖質コルチコイドが分泌されると、血糖値が上がっているのですから、このような状況で、さらに甘いものを食べて糖質を体内に入れると、さらに血糖値が上がってしまうでしょう。ストレスを感じた時こそ、糖質制限が正解じゃないですか?

まあ、糖質コルチコイドが分泌されると、脳下垂体前葉と視床下部に負のフィードバックをかけて糖質コルチコイドの濃度を一定に保とうとしますから、イライラしている時に少々甘いものを食べても、とんでもなく血糖値が上がることはないのかもしれませんが。

糖質制限で糖尿病になるというおかしな理屈

糖質制限をすると、糖尿病になると言っている人の中には、「糖質制限をすると、血糖値を下げるインスリンを分泌するすい臓のβ細胞を使わなくなり廃用性萎縮する」と主張する人がいます。しかし、この主張は、「糖質コルチコイドが分泌されて血糖値が上がり糖尿病になる」という主張と矛盾します。

血糖値が上がるとインスリンを分泌して、血糖値を下げます。つまり、糖質コルチコイドが分泌されて血糖値が上がれば、β細胞がインスリンを分泌して血糖値を下げようとするのですから廃用性萎縮という発想は出てきません。

もしも、β細胞が廃用性萎縮するのなら、過食して太り、これ以上血糖を筋肉や脂肪組織に取り込めなくなるインスリン抵抗性を惹き起こせば、β細胞がインスリン分泌量を増やすので、当該細胞は増殖・維持され糖尿病にならないはずです。

しかし、実際は、インスリン抵抗性が強まると、β細胞がインスリンを出し続けて疲弊し、やがて壊れてしまいます。壊れたβ細胞は元に戻らないと言われていますから、インスリンを過剰に分泌してβ細胞を酷使することは血糖値を下げにくくする体にしようとしているのと同じでしょう。

 

  1. 糖質制限をすると糖質コルチコイドが分泌されて血糖値が上がり糖尿病になる
  2. 糖質制限をするとβ細胞がインスリンを分泌しなくなるので廃用性萎縮し糖尿病になる

 

この2つの理屈は両立しませんよね。

糖質コルチコイドが分泌されて血糖値が上がれば、β細胞がインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。糖質コルチコイドが分泌されていると末梢組織での血糖の取り込みが抑制されますから、β細胞はさらにインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。

β細胞は働きっぱなしになるじゃないですか。だったら、廃用性萎縮はしませんよね。

また、糖質コルチコイドが分泌されると負のフィードバックがかかるので、普通は、際限なく糖質コルチコイドが分泌され続けることはないでしょう。ただし、クッシング症候群という病気になると糖尿病を発症することがあります。

ただし、糖質コルチコイドの分泌が過剰に増加すると、クッシング症候群とよばれる病気となり、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症を発症します。(147ページ)

クッシング症候群は、難病情報センターの以下のページによると、「下垂体にACTHを産生する腺腫ができてACTHの過剰分泌を生じることが原因」と考えられているようで、ACTHを産生する下垂体腺腫ができる原因は研究段階だそうです。

 

下垂体腺腫ができる原因がわかっていないのに糖質制限で糖尿病になると、なぜ言い切れるんでしょうね。

不思議です。

参考文献

糖質を摂取しないと筋肉が減る理屈がわからない

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糖質摂取量を減らすと筋肉が少なくなるという噂があります。

その理由は、体を動かす時のエネルギーを確保するために筋肉を分解して、タンパク質からブドウ糖を作るからだそうです。

筋肉は、ブドウ糖から合成したグリコーゲンを蓄えており、このグリコーゲンが筋肉を動かす時のエネルギーとなります。しかし、糖質制限をしているとグリコーゲンが枯渇し、タンパク質からブドウ糖を作らないと体を動かせないので、結果としてタンパク質でできている筋肉が減少するらしいです。

スタートラインに立つと筋肉が分解され始めるの?

上の理屈を聞くと、疑問に思うことがあります。

それは、糖質を摂取していない状態で、100メートル走のスタートラインに立つと自動的に筋肉が分解されてブドウ糖が合成され始めるのかということです。

だって、筋グリコーゲンが枯渇してエネルギー源が無くなっているのなら、走る前に筋肉を分解してブドウ糖を作らないといけませんよね?

では、筋肉は、どのようにして今から100メートルを全力疾走するという情報を受け取るのでしょうか?

教えてほしいんですけど、誰も答えてくれません。

そもそも、糖質制限で筋グリコーゲンが枯渇するというのが妄想なんですよね。以前に持久的アスリートは糖質を摂取しなくても筋グリコーゲンが回復するという研究を紹介しました。この研究によると、筋グリコーゲンの枯渇が、そもそも起こっていないでしょう。糖質制限をしているアスリートが走った後の筋グリコーゲンの回復を調べているのですから、走る前は筋グリコーゲンが蓄えられていたことが前提になっているはずです。

筋トレ後に糖質を摂取すると筋肉が付きにくい

また、筋トレ後は、筋肉が壊れるので、その壊れた筋肉を修復するためにタンパク質を補給しなければならないと言われています。

筋トレ後のタンパク質補給が少ないと、筋肉は発達しません。筋トレ前のタンパク質補給の方が筋肉の発達に効果的なようですが、いずれにしても、タンパク質を多く摂取することが筋肉を発達させることに違いはありません。

 

筋トレ後のタンパク質補給では、糖質も同時に摂取した方が筋肉を発達させやすいとされています。

タンパク質を摂取すると、インスリンが分泌され筋肉がタンパク質(アミノ酸)を取り込みやすくなります。また、糖質を摂取した時は、タンパク質摂取よりも多くのインスリンが分泌されますから、筋肉にアミノ酸を取り込みやすくなるように思えます。ちなみに糖質とタンパク質の同時摂取はインスリン分泌量をさらに増加させます。

筋トレ後にインスリンを大量に分泌させれば、理屈としては、筋肉をより発達させるはずです。

しかし、シミズ先生のブログの下記記事によれば、タンパク質のみの摂取の方が、タンパク質と糖質の同時摂取よりも筋肉を発達させるそうです。

 

血中のブドウ糖濃度が高くなると、血管の中が渋滞してアミノ酸が筋肉に取り込まれにくくなるんですかね?

よくわかりませんが、タンパク質と糖質を同時に摂るよりもタンパク質だけを摂った方が良いみたいです。普通に考えれば、筋肉はタンパク質でできているんですから、タンパク質優先でしょう。

糖質を摂らないと筋肉が減る理屈がまったくわかりません。

糖質制限ダイエット中は満腹になるまで食べても良いけど過食したら太るよ

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ダイエット法として、糖質制限は多くの人に認知されています。

従来のダイエット法は、カロリーコントロールが基本で、摂取カロリーを少なく、消費カロリーを多くすることを重視していました。ところが、糖質制限ダイエットが流行し始めると、贅肉になりやすいのは糖質だということを多くの人が知り、ダイエットは何を食べるか、そして、何を食べないかを決めることが重要だと理解されるようになりました。

もちろん、太りやすいのは糖質ですから、減量を目的としたダイエットの場合、真っ先に糖質摂取量を減らすのが効果的です。

だから、糖質制限をしていれば、基本的に満腹になるまで食べても問題ありません。

際限なく食べても良いとは言っていない

糖質制限ダイエットを推奨する多くの人が、糖質制限中は満腹になるまで食べても良いと言っています。

糖質制限の第一人者である江部康二先生も、著書の「『糖質オフ!』健康法」の中で、糖質制限食十カ条の1番目で「魚介や肉、納豆やチーズなど、たんぱく質と脂質はたっぷり食べてOK」と述べています。

私も、6年ほど糖質制限を続けており、タンパク質と脂質で満腹になるまで食べていますが、ブクブクと太っていくことはありません。むしろ、満腹になるまで食べないと痩せてしまうくらいです。

最近は、糖質制限批判者が減り始めていますが、まだ頑強に抵抗し続けている糖質制限批判者もいます。彼らが糖質制限を批判する時に言うのが、「好きなものを好きなだけ食べても良いとする糖質制限は健康上のリスクを高める」というものです。

江部先生は、「たんぱく質と脂質はたっぷり食べてOK」とは言っていますが、際限なく食べて良いとは言っていません。当たり前ですが、どんなものでも際限なく食べれば太りますよ。過食が原因で様々な健康被害が出ることもあるでしょう。

糖質制限食は糖尿病治療食

糖質制限食は、「従来のカロリー制限食のようにひもじい思いをして減量する必要がありませんよ」というもので、無制限に食べて良いとは言っていません。

そして、そもそも糖質制限食は、江部先生が糖尿病患者のための食事として推奨しているものです。従来の糖尿病治療食は、カロリー制限食でした。しかし、カロリー制限食は日常の活動に必要なエネルギー量以下の食事量となるため、空腹との戦いだったわけです。

でも、糖質制限食であれば、いちいち摂取カロリーを気にしなくても、糖質を摂取しなければ血糖コントロールが良好になるという利点があります。だから、食事量は気にしなくても良いのです。

さらに糖質制限食は、多くの副産物も生み出しました。その一つが減量効果です。

 

満腹になるまで食べているのに太らない。なんだこれ?

 

糖質制限を始めると、多くの人がこのような体験をします。

しかし、中には、糖質制限をしても体重が減らない人もいます。その場合は、食べている量が多すぎる可能性がありますので、食事量を減らしたり運動をしたり工夫する必要があるでしょう。

カロリー制限で血糖値が良好になることもある

血糖値を直接上げるのは、糖質だけですから、糖尿病の方が食後高血糖を起こさないようにするためには、糖質摂取を控えるのが最も効果的なのは当たり前のことです。

だから、糖質を摂取しながらのカロリー制限食よりも、糖質制限食の方が糖尿病の方には好ましい食事です。

ただ、カロリー制限食でも血糖コントロールが良くなる場合があります。それは、肥満が原因でインスリンの効き目が悪くなっている人です。

糖質を摂取すると、インスリンが分泌されて、血中にあふれかえった糖質(ブドウ糖)が中性脂肪に変えられて体に蓄えられます。しかし、肥満すると、これ以上中性脂肪を蓄えられない状態となり、インスリンが分泌されても、その効き目が悪くなり、ブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪組織に押し込むことができなくなります。これをインスリン抵抗性と言います。

糖尿病は治らない病気とされていますが、肥満が原因のインスリン抵抗性だけが血糖コントロールを悪くしている要因であれば、痩せることで血糖値を改善できます。つまり、脂肪組織の中性脂肪の量さえ減らせば、どのようなダイエット法を採用してもインスリン抵抗性の改善が可能ということです。

カロリー制限食は、食べる量を減らすので、脂肪組織に蓄えた中性脂肪を減らす効果があります。そのため、インスリン抵抗性が改善され、血糖コントロールも良好となります。食事量を減らせば減らすほど痩せていきますから、最も効果的なカロリー制限食は限りなく絶食に近い状態にすることです。

しかし、そんな食事は長く続きませんよね。それに肥満を原因とするインスリン抵抗性以外の要因で、糖尿病になっている人にはカロリー制限食は大した効果は期待できません。

だったら、最初から血糖値を上げないようにする糖質制限食を採用した方が良いですよね。

 

「好きなものを好きなだけ食べても良いとする糖質制限食は認められない」

こんなことを言っている人は、他に糖質制限食を否定する根拠を見つけられない人じゃないですか?

糖質制限食は、タンパク質と脂質をたっぷり食べても良いとはしていますが、満腹を超えて、際限なく食べて良いとは言っていませんよ。

参考文献

血糖コントロールに糖質制限が有効なのは当たり前。否定する根拠は見当たらない。

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食後に血糖値が、ドカーンと上がるのは良くないと言われるようになって久しいです。血糖値が上がると、血管が傷つくとか、インスリンが大量に追加分泌されて血糖が脂肪に変わるとか、健康維持にとって好ましくないと指摘する声は増える一方です。

食後高血糖に特に注意しなければならないのは、糖尿病の方です。糖尿病になると、血糖値を下げるのが難しくなります。高血糖が長期間持続すると、失明、足の壊疽、腎症といった糖尿病の合併症を発症する危険がありますから、糖尿病の方は、血糖値を上げない食事を心がけることが大切です。

食後高血糖を起こさないためには、炭水化物(糖質)が含まれている食品をできるだけ食べないようにする糖質制限食が有効です。

血糖値を直接上げるのは糖質だけ

糖質、脂質、タンパク質は、三大栄養素と呼ばれています。三大栄養素は、様々な食物に多く含まれている栄養素のことです。人間にとって必要な3つの栄養素という意味で名づけられたのではないことに注意しましょう。

 

三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは、糖質とタンパク質です。

多くの糖質は、口から食べて消化管で分解されるとブドウ糖となります。そして、小腸からブドウ糖が吸収されると血管の中に入ります。血糖は、血中のブドウ糖のことですから、糖質摂取は直接血糖値を上げることになります。

一方のタンパク質は、消化管で分解されるとアミノ酸になります。アミノ酸は、ブドウ糖ではないので血管に入っても血糖値は上がりません。しかし、アミノ酸摂取は、すい臓のα細胞からのグルカゴン分泌を促し、グルカゴンが肝臓に働いてグリコーゲンからブドウ糖を合成し血中に放り込むので、タンパク質摂取は間接的に血糖値を上げます。ただし、タンパク質を食べると、グルカゴンと同時にすい臓のβ細胞から血糖値を下げるインスリンも分泌されるので、健常者の場合、タンパク質を食べても血糖値はほとんど上がりません。ただ、糖尿病と診断された方は、インスリン分泌が減っている場合があり、タンパク質摂取でも血糖値が上がることがあります。

 

このように血糖値を上げるのは、糖質とタンパク質を摂取した時だけで、直接血糖値を上げるのは糖質摂取時だけですから、食後高血糖を予防するためには、糖質制限をすることが大切と言えます。これについては、どこにも否定する根拠はありませんね。

アメリカ糖尿病学会も糖質制限を認めた

糖質制限が糖尿病の治療に有効であることは、アメリカ糖尿病学会も認めています。以前は、糖質制限を認めない立場でしたが、その後、糖質制限は2年までは安全だと言ったりして、徐々に糖質制限を糖尿病の治療食として認めるようになっています。

そして、2019年には、さらに糖質制限を積極的に認めるようになったと、シミズ先生のブログで紹介されています。

 

上の記事では、アメリカ糖尿病学会が、でんぷん質のない野菜を重視すること、砂糖や精製した穀物を控えることを薦めており、炭水化物(糖質)摂取量を減らすと血糖値が改善されることが述べられています。

また、下の記事では、人間にとって最適な糖質摂取量がわかっていないことも示されています。糖質摂取だけでなく、人体は、脂肪に含まれるグリセロールやタンパク質に含まれる糖原性アミノ酸からもブドウ糖を作り出せますから、1日に人体が必要とする130グラムの糖質を全て食事から補給する必要はないと言えます。

 

脳はブドウ糖だけでなく、アセチルCoAから作られるケトン体もエネルギー利用できること、アミノ酸、グリセロール、乳酸といった基質から糖新生によってブドウ糖を作り出せることは、生理学や生化学の本に載っていることです。アメリカ糖尿病学会が糖質制限を認めたから、糖質制限は安全なのではなく、人体は糖質を摂取しなくても生きていける仕組みになっているから、糖質制限は安全なのです。

糖質制限が安全なことは、1週間、糖質制限をやってみればわかることですよ。

体に脂肪が溜まるのは糖質摂取が原因

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毎日、たくさん食べてゴロゴロとしていると太ります。

これは、誰もがわかっていることだと思います。実際に経験して確認した人も多いのではないでしょうか?

でもですね、太った時にこれまで食べてきた食品を詳しく確かめたことがある人は少ないと思います。単純にカロリーが多い食品を食べて体を動かさなかったから、太ったのだと判断していますよね。

しかし、太った原因を追究するためには、単に食べた量だけを確認するだけでは意味がありません。体に脂肪が付く原因は炭水化物(糖質)なのですから、糖質摂取量がどれくらいだったのかを知らなければ、太った原因を明らかにすることはできません。

糖質摂取で脂肪が溜まる仕組み

糖質を食べると、なぜ体に脂肪が溜まるのか、その仕組みをまず理解しましょう。

糖質を口から食べて、小腸から吸収される時、ブドウ糖まで分解されます。そして、ブドウ糖が小腸から吸収されると血液中に入り込み血糖値を上げます。

血糖値が上がると、すい臓のβ細胞からインスリンというホルモンがたくさん分泌されます。このインスリンが脂肪の蓄積に関わっているのです。

インスリンがたくさん分泌されると、血液中のブドウ糖(血糖)を中性脂肪に変えて脂肪組織に蓄えていきます。口に入れた時は、白米だったのが、体に入ると脂肪に変わってお腹周りに溜まっていくわけですね。

これが、糖質摂取が太る原因だと、よく言われている理由です。

ただ、この説明は、不十分なところがあります。

確かにインスリンは、血糖を中性脂肪に変えて脂肪組織に蓄える働きをします。しかし、その働きよりも、もっと中性脂肪の蓄積に影響を与えているのは、インスリンが脂肪の分解をストップする作用を持っていることです。

つまり、糖質摂取は、今食べた糖質を中性脂肪に変えて蓄えるのと同時に現在蓄えている中性脂肪の分解も止めてしまうから太りやすいんですね。

中性脂肪を分解すると遊離脂肪酸濃度が上がる

体に蓄えた中性脂肪は、糖質を摂取しなければ分解されて、グリセロールと脂肪酸になります。そして、脂肪酸はアルブミンとくっついて遊離脂肪酸となり血管の中を流れ、他の組織に運ばれてエネルギー利用されます。

糖質を摂取しなければ、中性脂肪が分解され続けます。つまり、体に蓄えた中性脂肪が減り続けるということです。

そして、中性脂肪の分解が進めば、血中の遊離脂肪酸濃度が高くなります。

反対に糖質を摂取すると、インスリンが分泌され、中性脂肪の分解が抑えられます。中性脂肪の分解には、ホルモン感受性リパーゼが働いているのですが、このホルモン感受性リパーゼの働きを抑制するのがインスリンです。

糖質摂取で、インスリンが分泌され、ホルモン感受性リパーゼの働きが抑えられると、中性脂肪の分解が進まなくなります。そうすると、血中の遊離脂肪酸濃度は低くなります。

だから、血中の遊離脂肪酸濃度が高ければ、体に蓄えた中性脂肪が分解されている結果だと推測できるわけです。

 

ところが、遊離脂肪酸濃度が高いことを悪と言う人がいます。

いやいや、遊離脂肪酸濃度が高いことは、中性脂肪の分解が進んでいるわけですから、肥満の解消になっているはずです。多くのお医者さんが、肥満は健康に良くないと言ってますから、中性脂肪の分解が進み遊離脂肪酸濃度が高まっている状態は、健康に良い状態じゃないですか。

それなのになぜ、遊離脂肪酸濃度が高いことが健康に悪いのでしょうか?

どうやら、そのように言う人は、原因と結果を反対にしているようです。

すなわち、遊離脂肪酸濃度が高まると、インスリン分泌が減るのだと。

違うでしょ。

インスリンの分泌が少ないから、中性脂肪の分解が進み、遊離脂肪酸濃度が高まっているのです。

 

糖質摂取はインスリン分泌を増やします。そして、インスリンには、以下の2つの働きがあるから、糖質摂取は体に中性脂肪を蓄えやすくなります。

  1. インスリンは、血糖を中性脂肪に変えて脂肪組織に蓄える
  2. インスリンは、中性脂肪の分解を抑制する

 

ところで、食品に含まれている脂質は、太る原因にならないのでしょうか?

脂質も食べ過ぎれば、もちろん太ります。ただし、脂質を食べてもインスリンは分泌されないので、中性脂肪は分解され続けます。でも、食べた脂質のうち、長鎖脂肪酸はインスリンの作用を受けなくても脂肪組織に運ばれますから、分解された中性脂肪よりも多くの脂質を摂取すれば、脂肪が蓄積していくでしょうね。

 

体に脂肪を蓄えないようにするためには、まず糖質摂取量を減らすことが大切です。

糖質摂取量を減らしても、太る場合は、過食の可能性があります。その場合は、脂質の摂取量も減らしてみましょう。

なお、タンパク質は、人間の体にとって最も重要な栄養素ですから減らしてはいけません。

糖質過剰摂取は筋肉量減少をもたらす

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日本人は、炭水化物(糖質)が多く含まれている米を主食とする食生活をしている人が多いですよね。

中には、「米こそが日本人の身体を作っているのだ」と言わんばかりの米愛好家もいます。

日本人に限らず、人間の身体はタンパク質が土台となっているので、タンパク質含有量が少ない米を主食とするのは不自然です。その不自然な食生活を続けていると、やがて糖尿病になってしまいます。

糖尿病になると、様々な合併症を引き起こしますが、その中には糖尿病性筋萎縮症と呼ばれるものもあります。

太っていても筋肉が減るサルコペニア肥満

糖尿病性筋萎縮症になると、その名の通り、筋肉量が減るのですが、特に大腿部によく見られる症状だと、鬼頭昭三先生と新郷明子先生の共著「アルツハイマー病は『脳の糖尿病』」で紹介されています。

大腿部が糖尿病性筋萎縮症になると、太ももが異常に柔らかくなり、便器からの立ち上がりに努力を要することもあるそうですから、日常生活で不便な思いをすることが多くなるのは容易に想像できます。

そして、高齢の糖尿病者の30%が、筋肉量が減少したサルコペニアといわれる状態にあるそうです。さらにサルコペニアと肥満の重複があるサルコペニア肥満になると、死亡リスクも上昇すると述べられています。

筋肉量がある程度以下に低下すると、転倒、骨折をしやすくなり、寝たきりの状態にも繋がります。サルコペニアと肥満の重複がみられるサルコペニア肥満が、糖尿病者でとくに注目されています。糖尿病者の一〇%はサルコペニア肥満であり、日常生活機能の低下や死亡リスクの上昇の原因になると考えられています。肥満度を示すBMIが高値または正常であっても、筋肉が減少して脂肪に置き換わっている場合があるのです。(88~89ページ)

この文章を読むと、筋肉量を維持することが、大切だとわかります。

太っていると、重たい体を支えるために足腰の筋肉が発達するものですが、サルコペニアになって太ると筋肉量の増加が期待できないのでしょうね。

高齢になってから筋肉量が減らないようにするためには、運動も大切ですが、糖尿病を予防することが重要と言えそうです。

空腹時の血中インスリン値は低い方が良い

糖尿病予防は、生活習慣の改善が大切と言われます。

適度な運動、過食をしないなどがすぐに思いつく生活習慣の改善方法でしょうが、糖尿病を予防するためには、糖質摂取を控えるべきでしょう。

糖尿病は、上がった血糖値が下がらなくなる病気ですから、血糖値を直接上げる原因となる糖質を食べないことが最も合理的な手段だとすぐにわかります。日本人だと、毎食のように糖質が多く含まれている米を食べていますから、まずは食べる米の量を減らすことが重要です。減らすなんて生半可なことは言わず、自宅では、一切、米を口にしない方が良いのですが、まずは米を減らすところから始めた方が糖質制限をしやすいかもしれません。

糖質を摂取すると、血糖値を下げるインスリンがすい臓のβ細胞から分泌されます。

このインスリンの効きが悪くなった状態をインスリン抵抗性、インスリンの量が不足した状態をインスリン分泌不全と言います。

どちらの場合も、血糖値が下がりにくくなりますから好ましいことではないのですが、インスリン抵抗性は肥満を解消すると改善する場合がありますが、β細胞が破壊された結果のインスリン分泌不全は治らないとされています。

そうすると、糖尿病を予防するためには、肥満を防ぐことも大切ですが、インスリンをたくさん分泌するような食生活を続けてβ細胞が壊れてしまうことを防ぐことが特に重要だと考えられますね。

しかし、インスリン抵抗性も無視してはいけません。

インスリン抵抗性があると、血液中のインスリン濃度が高くなります。これを高インスリン血症と言います。インスリンは、アミノ酸(タンパク質)を細胞に取り込むために重要なホルモンですが、高インスリン血症になると、ガンになりやすいとされています。その他にも、高インスリン血症は、様々な健康に好ましくない状態を惹き起こす原因となりますから、空腹時のインスリン濃度は低いに越したことはありません。

ところが、インスリン抵抗性があると、食事を終えてから長時間、血糖値が高い状態が持続するので、その間、インスリンが多く分泌され高インスリン血症になります。

先ほども述べましたが、血糖値を直接上げるのは糖質ですから、食事での糖質摂取量を減らすことで血糖値が上がりにくくなります。血糖値が上がらなければ、インスリンの分泌量も少なくて済みますから、高インスリン血症を防ぐこともできます。

だから、糖質を制限することが大切なんですね。特に高齢になるほど、筋肉量が減っていくのですから、タンパク質を多く食べて、糖質を減らすことが必要になってくるはずです。

同書では、「百歳長寿者はおしなべて、空腹時の血中インスリン値が基準値の下限を超えて低い人たちといわれています」とも述べられていますから、インスリン分泌は、できるだけ少なくしておいた方が良さそうですね。

参考文献


政府が認知症の予防に力を入れるみたいだけど糖質制限を勧める気はあるのかな?

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5月16日に政府が、70代の認知症の人の割合を10年で1割減らす新たな大綱の素案を発表したと新聞各紙で報道されました。

日本は高齢化が進んでいますから、認知症になる高齢者がこれからもっと増えていきそうです。だから、政府としても、認知症の予防に力を入れて、少しでも認知症の発症を遅らせた方が良いだろうという考えなのでしょうね。

ただ、認知症の予防に関する科学的検証が不十分で、並行して検証用のデータの収集も進めていくようです。

今まで認知症の予防に力を入れてこなかったので、データがないのは仕方ないと思います。でも、理屈では、認知症の予防に糖質制限が効果があると思われるので、政府には認知症予防に糖質制限を推奨して欲しいですね。

無駄にインスリンを分泌するから海馬にブドウ糖が供給されなくなる

認知症は記憶力が悪くなる病気です。

脳で記憶を司っているのは海馬ですから、海馬に何らかの不具合が出れば記憶力が悪くなりそうです。海馬がしっかりと働くためには、エネルギー源となるブドウ糖が海馬に供給されなければなりません。

ブドウ糖を細胞が取り込むためには、グルコーストランスポーター(GLUT)と呼ばれる輸送体を細胞膜表面に発現させる必要があります。脳で発現するGLUTは、GLUT1と呼ばれるものです。

GLUTの中で有名なのは、すい臓のβ細胞から分泌されるインスリンの指令を受けて発現するGLUT4で、こちらは骨格筋や脂肪組織に発現します。GLUT1は、インスリンの指令が無くても発現するので、海馬はブドウ糖を取り込みやすいのですが、インスリンの力を借りた方がブドウ糖の取り込みが良くなります。

インスリンは、糖質(ブドウ糖)を摂取すると多く分泌されます。そのため、糖質をたくさん摂取した方が海馬はブドウ糖を取り込みやすくなると思えます。

ところが、血液中にインスリンがたくさんある高インスリン血症の状態では、インスリンが血液脳関門を通りにくくなり、逆に脳内でのインスリン作用が不足してしまうのです。そうすると、海馬へのブドウ糖供給が少なくなるので、記憶力が悪くなると考えられるわけですね。

アルツハイマー病はインスリン抵抗性が関係している

健康な人は、糖質を1日に300グラムくらい食べても高インスリン血症になることはそうそうありません。しかし、毎日300グラムも糖質を摂取していると、脂肪組織に中性脂肪が溜まっていき、やがてこれ以上は中性脂肪を蓄えられない状態になります。

そうなると、どんなにインスリンを分泌しても、血中のブドウ糖を脂肪組織に押し込むことができなくなります。このような状態をインスリン抵抗性と言います。

 

インスリン抵抗性があると、どうなると思いますか?

どんなにインスリンを分泌しても、なかなかブドウ糖を脂肪組織に押し込めませんから、すい臓はさらに多くのインスリンを分泌してブドウ糖を処理しようとします。このような状態が長時間続けば、血中のインスリン濃度が高くなりますよね。そう、これが高インスリン血症です。

 

「ブドウ糖は脳にとって重要なエネルギー源だから、米、パン、麺類、砂糖など糖質が多く含まれている食品を積極的に食べて脳の働きをよくしよう」

 

こんなことを本気で思っている人は、かなり危険です。糖質摂取量を増やせば増やすほど、インスリン抵抗性が惹き起こされやすくなりますから、海馬がブドウ糖を取り込みにくくなります。記憶を司る海馬にブドウ糖が行き届きにくくなれば、物忘れがひどくなるんじゃないですか。

認知症には、脳にアミロイドβタンパクが蓄積するアルツハイマー病があります。このアルツハイマー病も、インスリン抵抗性と関わっていることが、鬼頭昭三先生と新郷明子先生の共著「アルツハイマー病は『脳の糖尿病』」の中で述べられています。

インスリンは脳の中で、神経細胞の生存、修復を支え、記憶をつくり、アミロイドβタンパクを分解する作用を持っています。脳でのインスリン作用がうまく機能しなくなれば、アミロイドβタンパクの蓄積を招きます。さらにいうと、アミロイドβタンパクの蓄積は脳の中のミクログリアといわれる細胞を刺激して、サイトカインなどの炎症性物質の分泌を亢進させ、インスリン情報伝達をさらに悪化させるという悪循環を招き、アルツハイマー病を進行させることになります。(123~124ページ)

アルツハイマー病と関わっているインスリン抵抗性は、糖質の過剰摂取によりもたらされるのですから、アルツハイマー病の予防にはインスリンを無駄に分泌させない効果がある糖質制限が有効だと考えられます。

 

このブログでは、アルツハイマー病と糖質制限について過去に以下の記事を書いています。

 

結局、糖尿病もアルツハイマー病も原因は同じ糖質過剰摂取なのですから、両方の予防には糖質摂取量を減らすことが大切です。

政府は、認知症予防の一環として糖質制限を指導していくんですかね。

参考文献

生活習慣病の原因を探って行ったら糖質過剰摂取にたどり着く

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生活習慣病は、日頃の食生活や運動不足が原因で健康を損なう病気の総称です。

具体的には、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、心臓病、脳卒中などが生活習慣病に挙げられています。

生活習慣病が食生活と運動不足が原因であるのなら、それらの改善が生活習慣病の予防に重要となって来そうです。運動不足は自覚しやすいですが、食生活は良いのか悪いのかを見分けるのが難しいのではないでしょうか。食事のたびにわざわざ食品に含まれる栄養素がどれだけかを調べるのは面倒ですし、カロリー計算なんて不可能に近いです。

食生活の改善は糖質摂取量を減らすことから始める

食生活の見直しは、何をどれだけ食べるべきかを決めることから始めなければならないと考える人が多いと思います。

そして、健康的とされている食品を列挙してみるわけですが、まあ、大変なこと。

魚、海藻、野菜、果物を一体何種類食べなければならないのか。1日30品目食べましょうと言われているから、とりあえず30品目列挙してみる人もいると思いますが、30品目も食材を見つけることが面倒です。トマトとプチトマトは同じなのか、ブロッコリーとブロッコリースプラウトは別物なのか、レタスとサニーレタスを2品目と数えるのは反則じゃないか、考え出すとキリがありません。

 

食生活の改善は、ただ一つだけ考えればよろしい。

それは、糖質含有量が多い食品を食べないこと

シミズ先生が、著書の「『糖質過剰』症候群」で、様々な生活習慣病を紹介されていますが、それらの原因は糖質の過剰摂取が原因だと述べています。

例えば、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム。

一般的には、高カロリーな食事を続け、運動不足も重なるとお腹が出てきて肥満になると言われています。ウェストを測って、男性なら85cm、女性なら90cmを超えていると、メタボリックシンドロームの疑いが出てきます。

そこで、健康診断を受けて、高血糖脂質異常症高血圧のうち2項目が当てはまるとメタボリックシンドロームとなります。そして、高血糖が当てはまっていれば糖尿病と診断されるわけです。

つまり、食生活の乱れや運動不足が肥満を招き、肥満がメタボの原因となり、やがて高血糖が持続して糖尿病と診断されるという一連の流れになっていると、一般には考えられています。

しかし、そういうことではなく、糖質の過剰摂取が、肥満にも、メタボにも、糖尿病にも、同時並行的に向かっているのです。

 

肥満→メタボ→糖尿病

 

と水が滝を流れ落ちるように段階的に発展するのではなく、糖質を食べ続けていれば、これらは同時に進行していきます。

だから、生活習慣病の改善のために真っ先に始めるべき食生活の改善方法は、糖質制限となるんですね。

完全なメタボになる前のチョイメタあたりで、米やパンと決別した方が良いでしょう。

フレンチパラドックスはパラドックスではない

血管が詰まって大変なことになる冠動脈疾患や心血管疾患は、脂っこいものやコレステロールが多く含まれているものを食べていると起こると信じられてきました。

だから、低脂肪食品が多く販売されているのですが、なぜか動物性脂肪をたくさん食べているフランス人は、冠動脈疾患になりにくい事実があります。そこで、このような不思議な現象をフレンチパラドックスと名付けました。

脂っこい食事が血管を詰まらせるという理屈と脂っこい食事をしているフランス人が冠動脈疾患になりにくいという矛盾をどう説明するのか。

思いついたのが、フランス人が赤ワインをよく飲むことでした。赤ワインには、レスベラトロールという成分が含まれています。この競走馬のような名のレスベラトロールが冠動脈疾患のリスクを低下させると仮説を立て、それでフレンチパラドックスは一件落着となりました。

しかし、そもそも動物性脂肪が血管を詰まらせるという前提がまちがっているのです。

フレンチパラドックスも、前提である「動物性脂肪や飽和脂肪酸が心血管疾患の原因である」という仮説が間違っているというのに気付かなかった。現在では、飽和脂肪酸と心血管疾患の関連は認められない、という十分なエビデンスが存在している。34万7747人を対象にした前向きの疫学研究のメタアナリシスでは、食事による飽和脂肪酸の摂取は、心臓の冠動脈疾患のリスクが1.07倍、脳卒中が0.81倍、心血管疾患が1.00倍と、どれもリスク増加と関連していなかったのである。(33~34ページ)

血液中の中性脂肪の値が高い、HDLの値が低いと血液がドロドロだと言われたりします。この血液ドロドロ状態になるのは、脂っこい食生活をするからだというのが定説です。

ところが、糖質制限をして肉や卵など脂っこい食品を食べても、中性脂肪の値は高くなりませんし、HDLの値も低くなりません。それどころか、中性脂肪は下がりHDLは上がるという、これまで信じられてきた定説とは真逆の結果となるんですね。

フレンチパラドックスは、パラドックスでも何でもなく、起こるべくして起こった結果だったのです。

 

結局、生活習慣病と言われている多くの病気が、毎日、大量の糖質を摂取してきた結果起こる現象なのです。

チョイメタオヤジから抜け出したければ、糖質制限をしましょうってことですよ。

参考文献

果物がヘルシーというのは思い込み

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「植物性」と聞くと、なんとなく身体に良さそうに思えますし、環境にも負荷を与えないような気がします。

対照的に「動物性」は、健康に良くないように思えます。

水を弾いている果物を見ると、「天然でヘルシー」なんて思ってしまいますが、実際のところはどうなんでしょうね。

果糖は太る

果物にガブッとかぶりついた時に口の中にジュワーッと広がる果汁には、多くの果糖(フルクトース)が含まれています。

あの果糖たっぷりの果汁を飲みこむと、喉が潤されますし、体を動かした後は疲れが吹き飛ぶような爽快感があります。やっぱり、果物は体に良さそうだなと思いたくなります。

でも、その爽快感は、ビールをグビッと飲んだ時も同じじゃないですか?

そう、果糖はアルコールと同じようなものだと考えられているんですね。シミズ先生の著書「『糖質過剰』症候群」の中で、「果糖は酔っぱらわないアルコール」と述べられています。

果糖とアルコールは、人間の体内での代謝、その有害性や、体に起きる変化などがそっくりなのである。果糖は人間の体の中で解糖されるが、アルコールは酵母があらかじめ解糖してくれているだけの違いである。(254ページ)

体内に吸収された糖質は、細胞質に入ると解糖系でピルビン酸に加工されます。ピルビン酸は、十分に酸素がある状況下では、ミトコンドリアに運ばれ、アセチルCoA(コーエー)に変わった後、オキサロ酢酸とくっついてクエン酸になります。クエン酸は、様々な反応を経て再びオキサロ酢酸となりますが、その過程で電子が取り出され、この電子が電子伝達系に運ばれて、アデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーの産生に利用されます。

ところが、同じ糖質でも、果糖は、体内に吸収されると肝臓でほぼ全てが代謝されて、ブドウ糖、グリコーゲン、中性脂肪に変換されてしまいます。

果糖が、肝臓で速やかに代謝されてATP産生に利用されれば、エネルギーとして消費されるのですが、人間の体はそのような仕組みにはなっていないようです。だから、果糖は体内に蓄積されやすいので太りやすい糖質なんですね。この辺りのことは、以下の記事でも紹介していますから、ご覧になってください。

果糖は老ける

水を弾く果実を見ていると、「これを食べれば自分の肌もみずみずしくなるんじゃないか」と思ってしまいますが、果物を食べても若返ることは期待できないでしょうね。

確かに果物には、ビタミンが含まれていますからアンチエイジングに良さそうな気がします。

しかし、現在、栽培されている果物は果糖が多すぎるので、食べるほどに老けていく可能性があります。

果物に多く含まれている猛毒の果糖を、健康的といってよいのかは、非常に疑問である。果糖はAGEsを非常に増加させやすい。もちろん、果物はビタミンや食物繊維を含んでいるので、全く不健康な食材ではないが、少量にとどめておくべきである。(254ページ)

AGEsは終末糖化産物と呼ばれるもので、糖とタンパク質が血管の中でくっついてできます。

「老化は糖化が原因」なんて言われるようになりましたが、糖とタンパク質がくっつくのが糖化ですから、糖化しやすい果糖が多く含まれている果物を食べることは、アンチエイジングとは真逆の行為なのです。

見た目のみずみずしさに騙されて、果物をたくさん食べていると、いつの間にか老けていそうです。

 

とは言え、以前、テレビで果物しか食べずに何年も生きている男性が紹介されていたので、果物だけでも生きていけそうです。見た目も老けている感じはなかったので、糖化の悪影響はあまり出ていないのかもしれません。

いったい、あの人の体はどうなっているのでしょうか?他の人が果物だけ食べていても、同じように生きていけるのでしょうか?

謎です。

ブドウ糖などの他の糖質と同時に摂取しなければ、果糖は人体に悪影響を与えないのかもしれません。果糖で血糖値は上がりませんしね。

参考文献

マグネシウムも亜鉛も糖質制限で摂取量が増える

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人間にとっての必須ミネラルの中にマグネシウム亜鉛があります。

マグネシウムは、骨に弾力性を与えたり、エネルギー代謝に関わったりしています。マグネシウムが不足すると、神経興奮、不整脈、虚血性心疾患、疲労感、こむら返り、めまいといった症状が出ます。

亜鉛は、生体内での200以上の酵素反応に関わり、血糖値を下げるインスリンを合成したり、抗酸化酵素のスーパーオキシドジスムターゼ(Zn-SOD)の成分にもなります。そして、亜鉛が不足すると、成長障害、性腺発育障害、皮膚障害、味覚異常といった症状が出ます。

マグネシウムも亜鉛も、大切な栄養素なわけですが、どちらも糖質制限をすれば摂取量が増える傾向にあります。

白米のマグネシウムと亜鉛の含有量

糖質制限は、普段の食事から糖質が多く含まれている食品を減らし、代わりにタンパク質と脂質を多く摂ることです。

日本人だと、白米を食べることが多いですから、白米を一切食べず、卵、肉、魚介類に置き換えれば簡単に糖質制限ができます。

そんなことしたら、白米に含まれているマグネシウムや亜鉛を摂取できなくなるので、逆にこれらの欠乏症になるのではないかと思うかもしれません。でも、白米には、マグネシウムも亜鉛も大して含まれていませんから、そのような心配はありません。

カロリーSlismで白米の栄養価を調べると、茶碗1杯(160グラム)に含まれるマグネシウムと亜鉛がどれくらいかを知ることができます。

  • マグネシウム=11.2mg
  • 亜鉛=0.96mg

 

ちなみに成人女性のマグネシウムの摂取推奨量は、270~290mgで、妊婦は40mg追加となっています。

成人女性の亜鉛の摂取推奨量は、8mgです。

茶碗1杯の白米を朝、昼、晩の3回食べても、全く足りません。一般的に糖質から1日に必要な熱量の60%を補給することが推奨されていますが、白米のように糖質が多く含まれている食品にはマグネシウムや亜鉛が少量しか含まれていない傾向があります。そのため、糖質の摂取割合を増やすほど、マグネシウムと亜鉛が欠乏していくことになります。

白米を卵、肉、魚介類に置き換えればOK

マグネシウムも、亜鉛も、白米を卵、肉、魚介類に置き換えれば、確実に摂取量を増やせます。例えば、カロリーSlismで、卵、肉、魚介類のマグネシウムと亜鉛の含有量を調べると以下の表のようになりました。

 

食品 マグネシウム 亜鉛
卵2個(120g) 13.2mg 1.56mg
牛肉(100g) 14mg 3mg
豚肉(100g) 15mg 1.8mg
鶏肉(100g) 19mg 1.6mg
サケの切り身2切れ(160g) 49.6mg 0.8mg
ししゃも5尾(150g) 72mg 2.7mg
イカ半分(150g) 81mg 2.25mg
タコ足切り身(200g) 110mg 3.2mg

 

サケの切り身2切れだけ、亜鉛の含有量が白米を下回っていますが、それ以外の食材では、マグネシウムも亜鉛も白米より多く含まれています。

マグネシウムは、海のものに多く含まれている傾向がありますから、マグネシウム補給には魚介類が有効です。マグネシウム補給におすすめなのはあおさ粉です。わずか1グラムで32mgもマグネシウムを補給できる優れものですから、肉にでも、魚にでも、あおさ粉を振りかけて食べていればマグネシウムの上乗せができます。

亜鉛の補給は牛肉が最強です。

 

世の中には、糖質制限をすると、マグネシウムや亜鉛の摂取量が減ると言う人がいます。

何を嘘を言っているのか。こういう嘘を言うのは、大概が糖質制限批判者なんですよね。食品の栄養価を調べられたら、すぐにばれる嘘を言って、何がしたいんでしょうね。

糖質制限をすると糖尿病になると嘘を言う人もいますが、糖質制限をすれば亜鉛を多く含む食品を積極的に食べるようになるのですから、インスリン分泌が増えて血糖コントロールが良くなると普通は考えるはずです。

 

糖質制限をすれば、マグネシウムも亜鉛も摂取量は増えます。ただ、マグネシウムは推奨量を摂取するのが難しい栄養素なので、食事に工夫が必要です。あおさ粉を食べるのがおすすめですが、その他にもマグネシウムが多く含まれている食品を探して、積極的に食べるようにしましょう。

ちなみにレバーはビタミンとミネラルを多く補給するのにおすすめです。

参考文献

血糖値を下げる食品はないと思うけど

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テレビのCMを見ていると、何らかの健康に良い効果をもたらしてくれそうな食品が宣伝されていることがあります。

人間が生きていくためには、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを食事から摂取しなければならないので、これらの栄養素が含まれている食品は、健康に良い効果があると言えなくもないです。

最近では、これら必須の栄養素以外の成分が含まれた食品が宣伝されていることが多く、中には、「血糖値を下げる食品」や「血糖値を下げる飲み物」まで登場しています。

糖質を摂取しなければ血糖値は上がらない

血糖値が高い状態が持続する病気は糖尿病です。糖尿病になると、様々な合併症を併発しますから、非常に厄介な病気です。

糖尿病の予防や糖尿病になってからの合併症予防には、食後に血糖値が上がらない食事をすることが大切だとされています。このような理由から、血糖値を下げる食品に注目が集まるのは当然と言えば当然です。

でも、血糖値を下げる食品に手を出す前に血糖値が上がる原因を知ることの方が先だと思います。

血糖値は、糖質を摂取すると上がります。

だから、血糖値を上げないようにするためには、米、パン、麺類、砂糖、根菜など糖質が多く含まれている食品を食べないようにするのが最も効果的です。

したがって、血糖値を下げる努力をするよりも、血糖値を上げないように糖質制限をすることの方が先です。

食品で血糖値が下がるわけがなかろう

食事の中に糖質が含まれていれば、血糖値は上がります。

糖質摂取を控えても、なかなか糖質をゼロにすることはできませんから、食事のたびに血糖値が上がるのは仕方ないです。しかし、糖質制限をすれば、血糖値の上昇幅を低く抑えることができますから、健康に悪い影響を与えるほどの血糖上昇を避けられます。

では、糖質を摂取しても血糖値を下げる食品を食べれば、血糖値は上がらずに済むのでしょうか?

そんなはずはない。

人間の血糖値は、概ね血液1dlあたり80mgから100mgの間で推移しています。

例えば、食事中に血糖値を下げるお茶を飲んだとしましょう。この場合、食事に含まれる糖質が血糖値を上げ、お茶が血糖値を下げることが期待されます。糖尿病の方だと、血糖測定器を使って血糖値の変動を確かめられますから、お茶を飲んで血糖値が下がったかどうかを知ることは可能です。

でも、血糖測定器を持っていなければ、お茶を飲んで血糖値が下がったかどうかを確認できません。結局、ほとんどの人が、お茶に血糖値を下げる効果があるかどうか確かめることはできません。

ただ、血糖値を下げるお茶を飲んで、本当に血糖値が下がるかどうかを確かめる方法がないことはありません。

人間は、血糖値が一定以下に下がると低血糖で倒れてしまいます。食事中に血糖値を下げるお茶を飲んでも、食事に含まれる糖質が血糖値を上げているので、低血糖にはならないでしょう。

では、空腹時に血糖値を下げるお茶だけを飲んだら、どうなるでしょうか?

血糖値が下がるはずですよね。しかも、空腹時は血糖値が低めですから、血糖値を下げるお茶を飲むと低血糖で倒れるはずです。

しかし、血糖値を下げると宣伝している食品や飲料で、低血糖になったというニュースを見たことがありません。それはつまり、血糖値を下げると宣伝しておきながら、血糖値を下げる効果はないということでしょう。

糖質の吸収を抑える食品や飲料も、同じく怪しいです。もしも、糖質の吸収を本当に抑えるのであれば、糖質を食べていないのと同じ状態にするのですから、最初から糖質制限をしていれば、そのような食品や飲料に頼る必要はないはずです。

 

血糖値を下げる食品や飲料は、その効果が怪しいと思うべきです。

血糖値を下げる成分も過信しない方が良いでしょう。

血糖値を上げたくないなら、糖質制限をするしかないですよ。

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