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肉食で進化した人類と粗食で滅亡した猿人

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現代の日本では、食の欧米化が生活習慣病の原因だと言われていますよね。そして、食の欧米化の代表的な食事が肉食だと。

だから、肉食は健康に良くないとおっしゃる識者が多いわけですが、この主張に対しては大いに反論したいです。戦後、日本人の食卓に多くの肉や玉子、乳製品が並ぶようになってから体格が良くなってますから、動物性食品が健康にとって悪だと決めつけることに違和感を感じます。

むしろ、現代の人類は肉食の恩恵を受けて進化してきたと言われているのですから、肉が生活習慣病の原因だと決めつけるのはいかがなものでしょうか?

人類は肉を食べて賢くなった

最近、「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」という本を読みました。著者は理学博士の溝口優司先生で、全体的な内容は本のタイトル通り、アフリカにいた日本人の先祖がどのようにして日本にやってきたかといったもので、日本人のルーツを知りたい方なら興味を持って読めると思います。

この本の中で、人類は肉食によって進化してきたと述べている部分があります。そして、粗食に適応した猿人は滅びたとも解説されています。

肉食で進化した人類はアウストラロピテクス。反対に粗食で絶滅した猿人はパラントロプスです。

パラントロプスは、アウストラロピテクスよりも発達した顎と臼歯を持っていました。パラントロプスのような猿人は、乾燥化などの影響で栄養価の高い果実を手に入れれなくなり、硬くて栄養価の低い野生のイネ科植物や根茎などを大量に食べて栄養素を補給していたそうです。栄養価の低い食物から必要なエネルギーを得るためには、1日の多くの時間を食事に費やさなければなりません。

一方のアウストラロピテクスの食事は肉食だったようです。顎の形態、歯の表面の磨り減り具合から分析すると、アウストラロピテクスは肉食だったと推定できるそうです。肉は栄養価が高いので、頻繁に食事をする必要はありません。

この食性の違いが両者の運命を決定します。

肉という栄養価の高い食物を食べるようになった者には、一日中何かを食べ続ける必要がなくなり、時間的な余裕ができたのです。時間的な余裕ができたことで、食べること以外に脳を使うようになり、脳が発達し、彼らは次なる進化の階段を上り始めました。しかし、パラントロプスは、食べることだけに時間を費やしていたために脳が発達せず、おそらくは新たな環境の変化に遭遇したとき、生き延びることができなかったのでしょう。いわば、栄養価の低い”粗食”に完璧なまでに適応してしまったがゆえに、パラントロプスは生存競争に敗れてしまったのです。(31~32ページ)

人類の歴史は飢餓の歴史だったのか?

現代の日本人は、そうそう食事に困ることはありません。

でも、人類の長い歴史で、このような飽食の時代は稀なことだと言われています。人類は飢餓の歴史が長かったから、体も頻回に食事を摂らなくても、どうにかこうにか生きていけるようになっていると聞くことも多いです。

しかし、この説はどうも怪しいですね。

アウストラロピテクスの脳が進化したのは、栄養価の高い肉食を覚えたことで時間に余裕ができたからだとする主張と相反します。

人類の長い歴史の中で飢餓の時代が長かったという発想は、肉食を無視した考え方、あるいは狩猟採集は獲物を得られるかどうか不安定だという考え方が根底にあるのだと思います。でも、人類は肉食を覚えたことで、捕食のために一日中活動しなければならないという境遇から脱し脳が進化したと推測するなら、お腹がすいた時に狩りに出かけて短時間に獲物を捕まえていたはずです。

そうでなければ、脳が発達するための時間的余裕を得られなかったでしょう。

人類の歴史は飢餓の歴史だとする発想は、初期人類が頻回に食事をしていなかったと推測し、炭水化物中心の現代人の食事内容を当てはめているのだと思います。炭水化物中心食は栄養価では肉食にかなり劣りますから、1日に何度も食事をしなければ生きていけないという先入観があるのでしょう。

 

で、結局何が言いたいのかというと、肉や玉子などの動物性食品中心の食事の方が、健康的に生きていくために必要な栄養素の補給に優れているということです。

粗食が人類を滅ぼす。

どこかで聞いたことのある言葉ですな。

参考文献


炭水化物を食べてたらビタミンとミネラルの推奨量や必要量の摂取が困難

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現代の栄養学では、1日に必要なカロリーの約60%を炭水化物(糖質)で補給しましょうと言われています。そして、必須ビタミンや必須ミネラルもしっかりと推奨量や平均推定必要量を満たすためにバランスの良い食事を心がけましょうとも言われていますね。

しかし、炭水化物をカロリーの60%補給して、必須ビタミンと必須ミネラルを推奨量摂取することは極めて難しいです。炭水化物の代表と言えば白米、パン、麺類ですが、これらに含まれるビタミンとミネラルはとても少ないため、カロリーの60%も炭水化物で補給していたのでは、ビタミンやミネラルの欠乏症になってもおかしくありません。

ご飯、ゆで卵、牛肉、豚肉、鶏肉のビタミンとミネラルを比較してみる

炭水化物にビタミンとミネラルが少ないことを理解するには、他の食品と含有量を比較するのが最適です。

以下の表は、ご飯1膳160グラム、ゆで卵1個60グラム、牛肉と豚肉と鶏肉を各100グラムで、ビタミンとミネラルの含有量をまとめたものです。食品に含まれるビタミンとミネラルはカロリーSlismに掲載されている値を使わせていただきました。また、推奨量は「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」の30歳から49歳の女性の推奨量を用いています。推奨量が記載されていなかった栄養素については、推定平均必要量や目安量を記載しています。

 

白米のビタミンとミネラル
ビタミン 推奨量 ご飯 ゆで卵 牛肉 豚肉 鶏肉
A(ug) 700 84 24 10 39
D(ug) 5.5 1.08 0.4 0.4 0.1
E(mg) 6.0 0.6 1.1 0.6 0.2
K(ug) 150 7.2 13 4 53
B1(mg) 1.1 0.03 0.04 0.05 0.54 0.07
B2(mg) 1.2 0.02 0.24 0.12 0.13 0.18
ナイアシン(mg) 12 0.32 0.06 3.9 4.6 5
B6(mg) 1.2 0.03 0.04 0.28 0.21 0.18
B12(ug) 2.4 0.54 1.3 0.4 0.4
葉酸(ug) 240 4.8 21 5 2 11
パントテン酸(mg) 4 0.4 0.81 0.5 0.79 1.68
ビオチン(ug) 50 0.8 15 3.5
C(mg) 100 1 2 3
ミネラル 推奨量 ご飯 ゆで卵 牛肉 豚肉 鶏肉
ナトリウム(mg) 600 1.6 78 52 47 59
カリウム(mg) 2,000 46.4 78 230 250 270
カルシウム(mg) 650 4.8 30.6 4 3 5
マグネシウム(mg) 290 11.2 6.6 14 15 19
リン(mg) 800 54.4 108 130 140 160
鉄(mg) 6.5 0.16 1.08 1.5 0.6 0.4
亜鉛(mg) 8 0.96 0.78 3 1.8 1.6
銅(mg) 0.8 0.16 0.05 0.05 0.05 0.04
マンガン(mg) 3.5 0.56 0.01 0.01 0.02
ヨウ素(ug) 130 9
セレン(ug) 25 1.6 21.6 14
クロム(ug) 10 1
モリブデン(ug) 25 48 3 2

この表で赤字になっている数字は、ご飯が他の食品よりも優れている栄養素です。こうやって見ると、ご飯1膳で補給できるビタミンとミネラルが非常に少ないことがわかります。ビタミンA、D、E、Kのいわゆる脂溶性ビタミンは、ご飯から補給することは不可能ですし、不足しやすいミネラルである鉄と亜鉛も、わずかしか摂取できませんね。

白米を1日3食しっかりと食べるとお腹は膨れますが、ビタミンとミネラルは慢性的に欠乏することがわかると思います。唯一、モリブデンだけは推奨量を満たせますが。

ご飯をゆで卵に置き換えた方がビタミンとミネラルを万遍なく摂取できる

白米は、空腹は満たされるけども、必須ビタミンと必須ミネラルが欠乏する食べ物と言えます。

すなわち、太るけども栄養不足になる食品ですね。まだ食パンの方が、ビタミンもミネラルも豊富です。うどんにいたっては、白米よりも栄養価が低いです。

これら炭水化物を多く含む食品は、どれもビタミンとミネラルが乏しい食品です。それなのに1日に必要なカロリーの60%も炭水化物で補給する意味は、いったいどこにあるのでしょうか?

栄養バランスを優先した食事をするのであれば、ご飯、パン、麺類は、ゆで卵に置き換えた方が良いです。1日3回、白米を食べるのなら、ゆで卵を3個食べた方が、ビタミンもミネラルも万遍なく補給できるので、栄養バランス的に優れています。

もちろん、ゆで卵や肉類でも不足する栄養素はあります。ビタミンC、カリウム、マグネシウム、ヨウ素あたりですね。でも、これらは、他の食品と組み合わせることで摂取できます。ブロッコリーやアボカドだと、ビタミンC、カリウム、マグネシウムが比較的多く含まれています。ひじきなどの海藻類には、カリウム、マグネシウム、ヨウ素が豊富です。

また、レバーは、ビタミンとミネラルが豊富ですから、適度に食べることをおすすめします。

なので、動物性食品中心に栄養補給し、足りない栄養素を野菜、海藻、その他の食品で補うのが、栄養バランスの良い食事と言えます。炭水化物中心食は、どうしてもビタミンやミネラルといった微量栄養素が不足します。また、炭水化物が多い食品は、良質なタンパク源にもなりません。

健康や美容を意識するのであれば、炭水化物は控えるに越したことはないですね。

参考文献

日本人が糖尿病を発症しやすいのは自然淘汰が進んでいないからじゃないの?

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日本人に限らずアジア系の人は、2型糖尿病になりやすいとされています。

2型糖尿病は、血糖値が上がってもうまく下げることができない病気で、様々な合併症を引き起こす疾患です。血糖値を下げれなくなるのは、すい臓のβ細胞から血糖を下げるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が減るインスリン分泌能低下、インスリンは分泌されていても体が血糖の取り込みを拒否するインスリン抵抗性の増大が原因とされています。

アジア系の人はインスリン分泌能低下を原因として2型糖尿病を発症しやすいようです。一方、欧米人は肥満が進行して、これ以上体が血糖を取り込めなくなってインスリン抵抗性が増大することで、2型糖尿病を発症する傾向があるようです。

ところで、両者の違いはなぜ起こるのでしょうか?

乳糖不耐症を考えてみる

アジア人と欧米人で糖尿病の発症の仕方が異なることは、乳糖不耐症の人とそうでない人との比較に似ているように思います。

乳糖不耐症とは、簡単に言うと、牛乳を飲むと下痢をしてしまうことです。牛乳には、乳糖が含まれていますが、これを分解するためにはラクターゼという酵素が必要です。哺乳類は、生まれたばかりの頃はラクターゼを持っています。でも、乳離れするとラクターゼが無くなります。だから、哺乳類が大人になってミルクを飲むと、お腹を下して栄養を補給できません。

でも、中には大人になってもラクターゼが失われない人がいます。そういった人は、かつての遊牧民に多くいることが研究でわかりました。動物育種繁殖学を専門としている酒井仙吉先生の著書「哺乳類誕生 乳の獲得と進化の謎」で、これについて解説されています。

中東・ヨーロッパ人、東アフリカ人になぜラクターゼ所有者が多いのかに関心が集まった、その理由がラクターゼ遺伝子、正確にはこの遺伝子の発現を制御する領域で起きた突然変異にあった。成人になってもラクターゼ遺伝子が働き、ラクターゼがなくならなかったのだ。
(中略)
進化の理論からすると牛乳を重要な栄養源とした民族ではラクターゼ所有者が生存に有利となり、突然変異したラクターゼ遺伝子が集団に広がった(ハーディー・ワインベルグの法則)。(192~193ページ)

つまり、ある集団が牛乳や乳製品から多くの栄養を補給する食生活をし始めたら、大人になってラクターゼが無くなった人たちは栄養補給ができなくなり自然淘汰され、大人になってもラクターゼが無くならなかった人たちの子孫が残ったということです。

突然変異と聞くと、進化と思ってしまいますが、単純に個人差と言えるのではないでしょうか?牛乳を飲んで下痢をしやすかった人は子供を産む前に栄養失調で亡くなることが多く、そういう人たちが長い年月を経て、集団の中で少数派になっていった結果、大人になってもラクターゼ遺伝子が働く人たちの割合が増えたのだと思います。

同書では、イギリスの産業革命の時代に蛾の色が淡黄色から黒色に変化したことについても紹介されています。この時代は薪や石炭で動く蒸気エンジンが使われていたので、広い地域が煤で覆われて黒くなっていたそうです。だから、蛾も環境に適応するために淡黄色から黒色に変わったのだと考えられていました。しかし、本当の理由はそうではなく、黒い世界では淡黄色の蛾は鳥に捕獲されやすく、黒色の蛾は見つかりにくかったから、黒色の蛾が生存に有利だったということです。

これも、自然淘汰の一例と言えますね。

農耕社会では糖質をエネルギー利用しやすい人が有利

乳糖不耐症は哺乳類本来の姿です。でも、牛乳や乳製品の常食により乳糖不耐症の人が少なくなっていきました。

ここからは私の妄想ですが、欧米人とアジア人の2型糖尿病発症の原因の違いも自然淘汰が理由なのではないでしょうか?

農耕の文化は大陸から日本に伝わったとされています。だから、大陸に住んでいる人たちの方が日本人よりも農耕の歴史が長いと考えられます。

農耕の開始で米や麦をよく食べるようになると、炭水化物(糖質)の摂取量が多くなります。だから、体に糖質を効率的に補給できる人ほど、農耕社会では生存に有利と言えます。

インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、別の見方をすると細胞に血糖(ブドウ糖)を取り込ませてエネルギー利用させる働きがあります。だから、インスリンの分泌量が多い人ほど細胞がブドウ糖をエネルギー利用しやすいので、農耕社会ではインスリンを分泌するすい臓のβ細胞の働きが強い人ほど生存に有利となります。

したがって、すい臓のβ細胞の働きが弱い人は自然淘汰されていき、次第に集団内でβ細胞の働きが強い人の割合が増えていきます。農耕の歴史が長くなれば長くなるほど、すなわち、糖質量の多い食品を食べる習慣が長ければ長いほど、その割合は高まっていくはずです。

農耕の歴史が短いと自然淘汰が起こりにくい

では、β細胞がよく働く人が、米や麦など糖質が多く含まれている食品を食べ続けるとどうなるのでしょうか?

血糖はインスリンによって細胞に取り込まれてエネルギー利用されますが、余剰分は脂肪組織に蓄えられていきます。糖質を頻繁に食べていれば、徐々に太っていき、やがて脂肪組織が血糖を取り込めなくなります。これが、インスリン抵抗性の増大ですね。

インスリン抵抗性が増大しても、高すぎる血糖値を下げようと、すい臓はインスリンを出し続けます。しかし、血糖値は下がりません。だから、すい臓はインスリンの分泌を継続します。このようなことが食事のたびに起こると、やがて、すい臓のβ細胞が壊れてしまいます。そう、インスリン分泌能が低下するのです。

 

さて、冒頭でも述べましたが、日本人はインスリン抵抗性が増大する前にインスリン分泌能が低下して2型糖尿病を発症するとされています。なぜ、インスリン抵抗性の増大前に2型糖尿病になるのか、それは、農耕の歴史が浅くすい臓のβ細胞の働きが弱い人の自然淘汰が進まなかったからではないでしょうか。

日本人の中にも、すい臓の働きが強い方はいるはずです。そういう方は、少しの糖質摂取量でも太りやすい方で、西洋諸国の人たちに多く見られるように肥満してからインスリン抵抗性が増大し、そこからインスリン分泌能低下につながって2型糖尿病になるのだと思います。

すい臓の働きが弱い方は、肥満するまでインスリンを分泌しなくても、β細胞が壊れてしまい2型糖尿病にいたるのでしょう。おそらく、人間は、本来インスリン抵抗性が増大する前にインスリン分泌能が低下する生き物なのだと思います。

農耕の歴史が浅い日本では、すい臓が弱い人の自然淘汰は起こらず、食が多様化している現代日本でも、そうそう、すい臓が弱い人が生き残れないといったことはないでしょうね。

だから、欧米人よりもすい臓のβ細胞の働きが弱い傾向にある日本人こそ、糖質が多く含まれた食品を控え、血糖値を上げない食事を心がけるべきだと思います。

参考文献

米を食べると太ると高度経済成長期から言われていた

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21世紀になって、炭水化物(糖質)が多く含まれている食物を食べると太りやすいという情報を多くの人が知るようになりました。ダイエットのために糖質制限をする人も増えてますから、「糖質は太る」という知識が徐々に定着しつつあるように思います。

糖質を多く含む米、パン、麺類を食べると太ると言われ出したのは、糖質制限の認知度が上がってきたからだと思っていましたが、どうやら戦後から高度経済成長期にかけて、すでに米は太ると言われていたようです。

白米偏重からの是正

戦後の貧しい時代には、さすがに食べるものが不足していましたから、どんなものでも口の中に入れていたでしょう。栄養がどうのこうのなんて二の次で、とにかく空腹を何とかすることが重要だったはずです。

でも、終戦から10年もすれば日本の農業も戦前の水準まで回復し、米を思う存分食べられるようになっていました。

最近、「コメを選んだ日本の歴史」という本を読みました。著者は大学教授の原田信男先生で、日本の米の歴史を古代から現代まで順を追って解説されています。同書の中で、戦後の白米偏重の是正についての記述があったので紹介します。

農業にも大きな変化が訪れ、古代以来、開発・発展の一路を歩んできた水田稲作は、大きな打撃を受けることになる。とくに昭和三五(一九六〇)年は、コメにとって、マイナスの意味での画期的な年となった。
すでに同二七(一九五二)年に、栄養改善法が施行され、国民栄養調査が行われるなど、栄養への関心は高まっていたが、この年から栄養改善運動が起こり、白米偏重の是正が叫ばれるようになった。
(中略)
食文化の変容と深くかかわるが、白米は肥満を招くなどといった偏見が幅をきかせた。このため昭和三七(一九六二)年に、コメ消費量は戦後最高を記録し、一人一日当たり三二四グラムのピークに達したが、以後年々減少に向かい、同四五(一九七〇)年には、同じく二六一グラム強と低下していく。(222~223ページ)

興味深いのは、「白米は肥満を招くなどといった偏見が幅をきかせた」という部分です。

どういった理由で白米が太ると言われるようになったのかはわかりませんが、高度経済成長期頃には日本人でも白米が肥満の原因になると知っていた人がいたということですね。

また、この時期に栄養改善運動が起こって白米偏重の是正が叫ばれたということも、すでに米はあまり栄養がないことがわかっていたのかもしれません。白米ばかり食べているとビタミンB1が不足して脚気になることは有名な話で、日本でも過去には国民病と呼ばれるほど脚気が流行しましたからね。

糖質を食べるとビタミンB1を消費しやすくなる

白米を食べると脚気になりやすいというのは、白米を食べてもビタミンB1の必要量を摂取できないことが理由とされています。でも、この説明は不十分です。

白米に多く含まれる糖質を体内でエネルギー利用する場合、細胞質内の解糖系でいったんピルビン酸に加工する必要がありますが、この時にビタミンB1が使われます。そして、ミトコンドリアで大量のエネルギーを生み出すためにピルビン酸からアセチルCoA(コーエー)を作る際にもビタミンB1が消費されます。さらにミトコンドリアでのエネルギー産生時にもビタミンB1は必要です。

つまり、白米を食べることは、ビタミンB1の摂取量を減らすとともにビタミンB1の消費量を増やすことになるので、余計にビタミンB1不足となるのです。そして、深刻な場合には脚気を発症します。

江戸時代より前から日本人は脚気になっていた

日清戦争や日露戦争では、多くの日本兵が亡くなりましたが、戦死よりも脚気で命を落とした兵士の方が多かったと言われています。これは兵士たちが白米ばかりを食べてビタミンB1不足になったことが理由とされています。

また、江戸時代には諸国大名が参勤交代で江戸に滞在すると、家臣達が「江戸わずらい」という病気になりました。この江戸わずらいは脚気のことで、国にいる時は玄米や雑穀を食べていたけども江戸の町では白米を食べていたからビタミンB1不足になったのです。

精米技術が発達したのは江戸時代だったので、白米をよく食べ出した江戸時代以降に日本人は脚気をわずらうようになったと言われていますが、それ以前の時代にも日本人は脚気になっていました。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、多くの日本の兵士が脚気で亡くなったことが、伊達政宗の書状に記載されています。

惣別、当国にて腫気わずらい候者、十人に九人はあい果つる事に候

腫気とは現在の脚気のことで、戦地では脚気を発症した兵士のうち9割が亡くなっていたということです。

日本から朝鮮への食料輸送がうまくいかずに兵士の栄養状態が悪くなったのが、ビタミンB1不測の原因です。でも、この時から脚気をわずらう日本人がいたことが史料に記載されているのですから、おそらく、それ以前から脚気にかかる日本人は多かったのかもしれません。

ビタミンB1欠乏症の症状

ビタミンB1が不足すると重症だと脚気になりますが、そこまで行かなくても、肥満、慢性疲労、肩こり、食欲不振、倦怠感といった症状が出ます。

慢性疲労なんて現代人によく見られる症状ですし、肩こりや何となくだるいといった倦怠感も、経験したことがある人は多いでしょう。また、肥満もビタミンB1不足が原因となるのですから、脂質の少ない食事をしていても炭水化物(糖質)中心の食事をしていると太りやすくなるのは当然ですね。

現代人の体調不良の原因はいろいろとあるでしょうが、その中にはビタミンB1の摂取不足と過剰な消費もあるのでしょう。

中性脂肪の分解産物である脂肪酸なら、エネルギー利用する際にアセチルCoAの合成まではビタミンB1を消費しません。その代りビタミンB2を消費しますが、脂質が多く含まれている食品、例えば、肉類や卵にはビタミンB2も多く含まれている傾向にありますから、動物性食品中心の食生活であれば、まずビタミンB2が不足することはないでしょう。

 

高度経済成長期の「白米は太る」という噂は、糖質の過剰摂取がビタミンB1不足をもたらし、それが肥満に結びつくという点から考察すると、まちがっていたとは言えませんね。

参考文献

甘いものを食べるとストレス解消になると言うけど、それがうつ病の原因じゃないの?

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甘いものを食べるとストレス解消になるって言われてますよね。

ニセ科学じゃないのかと疑いたくなりますが、ちゃんとした理由があって、甘いものを食べるとストレス解消になるとされています。その説明を聞くと、「なるほど、なるほど」と頷きますし、やっぱり糖質を食べないと健康に悪いんだなと考えを改めようと思ってしまいます。

セロトニンの材料はトリプトファン

ストレス解消に関わっているホルモンにセロトニンがあります。セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれており、気持ちを落ち着かせたり、睡眠の質を高めたりするために欠かせません。

だから、脳内でセロトニンがしっかりと合成されれば、仕事や人間関係でストレスを受けても気持ちをリラックスさせれます。

セロトニンを合成するのに必要な材料は、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンです。したがって、トリプトファンが脳にしっかりと供給されていればセロトニンが合成されやすくなり、ストレスに強くなるというわけです。

ストレスに強くなるためには、セロトニンの材料となるトリプトファンを多く含んだ食品をたくさん食べるのが良さそうだとわかるでしょう。トリプトファンを多く含んだ食品の代表は卵です。他にも魚介類やナッツ類にもトリプトファンは含まれています。

トリプトファンとインスリン

さて、甘いものを食べるとストレス解消になると最初に述べましたが、トリプトファンと何か関係があるのでしょうか?

実は関係があるのです。そして、甘いものがストレス解消に良いと述べている方々も、甘いものとトリプトファンの関係を説明し、ブドウ糖(糖質)をしっかりと摂取しないといけませんと言っているのです。

生化学、医学、薬学などライフサイエンスを中心とする執筆活動を行っている生田哲先生の著書「食べ物を変えれば脳が変わる」に甘いものとトリプトファンの関係が説明されているので紹介します。

脳内でトリプトファンがセロトニンに変換されるには、まず、血液に溶けているトリプトファンが血液-脳関門を通過して脳内に入ることが絶対条件である。
この関門を通過させてくれる運搬人がいるのだが、この運搬人はトリプトファンの専属でなく、チロシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンといった合計六種類のアミノ酸も同時に運んでいる。前述の実験では、被験者が高タンパク質を食べたため、他のアミノ酸と競争することになって、トリプトファンは脳内にほとんど入れなかったのである。
しかし、このとき、もしバナナやフルーツジュースなどの糖類といっしょにトリプトファン食を摂れば、脳内でセロトニンがつくられるから不思議だ。じつは、バナナやフルーツジュースによって血糖値が上がるため、インスリンが放出されるのだが、このインスリンが、トリプトファンによる血液-脳関門の通過を助けるのである。(186~187ページ)

少々長くなりましたが、簡単に説明すると、インスリンが分泌されると血中のアミノ酸が筋肉や脂肪組織に取り込まれて血流の渋滞が解消するので、セロトニン合成に必要なトリプトファンが脳に届きやすくなるということです。そして、糖質を食べると血糖値が上がってインスリンがドバっとすい臓から分泌されるので、ストレス解消に甘いものを食べるのが効果的だと言われているのです。

甘いものはドーピングと同じ

上記の説明を読むと、多くの人が甘いものを食べることはストレス解消に大切だと思うでしょう。しかし、その効果はほんの一瞬です。むしろ、糖質摂取による血糖値の乱高下が起こるので疲労感が増します。

これは、医師の姫野友美先生の著書「成功する人は缶コーヒーを飲まない」で述べられていたことです。

しかしセロトニン合成には、トリプトファンが常に供給されないといけない。しかしチョコレートには、セロトニン合成に必要なトリプトファンもビタミンB₆も含まれないのだ。いくらチョコレートを食べてもストレスに対抗するだけのセロトニンをつくることができず、体内のトリプトファンを総動員するのでいずれその材料は枯渇し、そのうちいくら食べてもセロトニンの合成ができなくなってしまうのだ。つまりその場しのぎの糖分でセロトニンを増やしても、本来の原料が入ってこなければセロトニンを根本的に増やすことができず、以前食べていた量では満足できないので食べる量がどんどん増えるという悪循環に陥っていく。だからチョコレートははまりやすいのだ。(66ページ)

まるでドーピングをしているアスリートのようですね。

その場しのぎのストレス解消のために甘いものを食べて幸せな気分になる。しかし、体内のトリプトファンが消費されていくので、それを繰り返していると、やがて、たくさんの糖質を摂取して絞り出すようにトリプトファンを脳に届けなくてはならなくなります。

当然、インスリンがドバドバと分泌されますから太っていきます。また、すい臓にムチ打ってインスリンを出しているのですから、そのうち、すい臓が疲れてインスリンの出が悪くなります。これが糖尿病ですね。

糖尿病になるとうつ病になりやすい

糖尿病になると、うつ病になりやすいと言われています。検索すれば、そのように解説しているウェブサイトがたくさん出てきます。でも、糖尿病になると、なぜ、うつ病になるのか、その原因を解説しているウェブサイトは見当たりませんでした。もっと探せばどこかにあるのかもしれませんが、面倒なのでやめておきます。

なので、ここからは私の妄想です。

糖尿病は、糖質の過剰摂取を繰り返すことで、すい臓が壊れてしまう病気です。1型糖尿病はインスリンがほとんど出ない状態で、2型糖尿病はインスリンは分泌されているけども健常者よりも少ない状態です。ここでは2型糖尿病を前提に話を進めます。

ストレスを感じた時に甘いものを食べて、幸せな気分に浸る行為を繰り返しているとどうなりますか?

甘いものを食べるとインスリンがドバっと出ますから、すい臓に負担がかかりますよね。そのドバっとインスリンを分泌する行為を繰り返せば、いずれはすい臓が壊れてしまい糖尿病を発症してしまうことは容易に想像できます。

そして、糖尿病を発症するほどにインスリンを分泌しているのですから、体内のトリプトファンの量もきっと少なくなっているでしょう。トリプトファンが不足すればセロトニンを合成できませんから幸福感を得られません。また、食事からしっかりトリプトファンを摂取していても、肝心のインスリンが分泌されにくくなっているのですから、血流はその他のアミノ酸で渋滞し、トリプトファンが脳に届きにくくなっているはずです。

このように考えると、糖尿病とうつ病との関係を説明できますよね。まあ、私の妄想ですが。

 

それにしても、血液脳関門を通過できるのはブドウ糖だけだから脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖だと言っておきながら、一方で脳にトリプトファンを届けるためにはインスリンを分泌しなければならないと言ってるのですから、完全に矛盾してますよね。

参考文献

糖質とタンパク質の同時摂取はインスリン分泌量を増やす

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炭水化物(糖質)を食べると、血糖値が上がって、それを下げるためにすい臓からインスリンが分泌されます。糖質摂取量が増えればインスリンの分泌量も増える傾向にあります。

糖質を摂取してインスリンが追加分泌されると、血中のブドウ糖を外に出して筋肉や脂肪組織に貯め込みます。だから、インスリンは肥満ホルモンとも呼ばれています。

糖質摂取量を少なくすれば、血糖値が上がりにくくなるのでインスリンの追加分泌も少なくて済みます。もちろん、インスリンの追加分泌が少ないと中性脂肪も体に蓄えられにくくなりますから、肥満の予防や改善にもつながります。

タンパク質を食べてもインスリンが大量分泌される?

インスリンは、タンパク質を食べた時も分泌量が増えるのですが、糖質摂取時と比較すると一気に分泌量が増えることはありません。

それなのにタンパク質を食べてもインスリンが大量分泌されると主張する人がいます。そして、そう言っている人がよく持ち出す実験結果があります。その実験は、高糖質食と高タンパク質食を比較した場合、高タンパク質食の方がインスリン分泌量が多かったというものです。それぞれの糖質とタンパク質の摂取量は以下の通りです。

 

  1. 炭水化物(糖質)=125g、タンパク質=21g
  2. 炭水化物(糖質)=75g、タンパク質=75g

 

摂取カロリーは、どちらも675kcalに統一しています。

さて、両者を比較して、「1」が低タンパク質食で、「2」が高タンパク質食であることはわかります。糖質摂取量から比べると、「1」が超高糖質食、「2」が高糖質食となっています。

なんてことはありません。どちらも、糖質摂取量が多いからインスリンが大量に分泌されたわけです。ただ、「2」の方が「1」よりもインスリン分泌量が多かったようですが、これをもって高タンパク質食がインスリンを大量分泌するとは言えませんね。インスリンは血糖値を下げるために分泌されるホルモンというのは生理学の基礎知識です。以下に石川隆先生監修の「カラー図解 生理学の基本がわかる事典」の該当箇所を引用します。

食事により血糖が上がると、ランゲルハンス島のβ細胞が刺激されて、インスリンが分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖を体内の細胞に送りこんでエネルギー源に変えたり、脂肪に変えて脂肪組織にたくわえたり、グリコーゲンに変えて肝臓にたくわえるはたらきをします。また、骨格筋脂肪組織でのタンパク質合成を促進し、血糖を下げる作用があります。(58ページ)

こう言っても、「いや、タンパク質の摂取量が多いからインスリンが大量分泌されたんだ」と主張し続ける人はいるでしょうね。

糖質摂取で脳内のセロトニンレベルが上がる

前回の記事で、糖質を摂取するとインスリンが分泌されて、幸せホルモンのセロトニンの材料となるトリプトファンというアミノ酸が脳に届けられやすくなるということを紹介しました。

ここからも、糖質がインスリンを大量分泌し、タンパク質摂取ではインスリンがそれほど分泌されないことがわかります。

糖質を摂取すると、脳内のセロトニンレベルが上がることを実験で確かめたのはマサチューセッツ工科大学のリチャード・ワートマン教授です。実験内容については、生田哲先生の著書「食べ物を変えれば脳が変わる」で簡単に説明されています。

同教授が被験者を二グループに分け、一方にふつうアメリカで食べられている高タンパク質の朝食を、他方に高糖質の朝食を与えたところ、後者だけが脳内のセロトニンレベルが上がったことが判明した。後者にはトリプトファンがまったくふくまれていなかったにもかかわらず、である。
(中略)
じつは、バナナやフルーツジュースによって血糖値が上がるため、インスリンが放出されるのだが、このインスリンが、トリプトファンによる血液-脳関門の通過を助けるのである。(186~187ページ)

この文章を読めば、高タンパク質の食事は、例えトリプトファンを多く含んでいても、インスリンの分泌量がそれほど増えないので糖質摂取した場合との比較で脳にトリプトファンが届きにくいとわかるでしょう。

もう、これで、インスリンを大量分泌するのは糖質摂取時だと理解していただけるはずです。

でも、まだ食い下がってくる人がいるんですよね。データで示せとか言って。

タンパク質のみを摂取してもインスリンスパイクは起こらない

しつこくタンパク質摂取でも、インスリンが大量分泌されると言い張る人には、「臨床栄養士のひとり言」さんの下記記事に掲載されているインスリンの追加分泌のグラフを見せてやりましょう。

このグラフを見たら明らかなようにタンパク質のみを摂取した後にインスリンは分泌されますが、分泌のされ方は非常に穏やかで一気に大量に分泌されることはありません。

それに対して、炭水化物(糖質)のみを摂取した場合には、一気にインスリンが大量分泌され、急激に分泌量が減っていくインスリンスパイクが起こっているのがわかります。特に興味深いのが、炭水化物とタンパク質を同時摂取した場合は、炭水化物のみ摂取時よりも多くのインスリンを短期間に分泌し、激しくインスリンスパイクを起こしていることです。

もう、これで結論が出たでしょう。

この記事の最初の方で紹介した実験内容は、高タンパク質食の方がインスリン分泌量が多いという結果でしたが、それは同時に炭水化物も摂取したことが原因だったのです。

 

高炭水化物+高タンパク質の食事の実験結果を持ってきて、高タンパク質食でもインスリンが大量分泌されると主張して糖質制限を批判したいのでしょうが、論文の選択の仕方に問題があるでしょう。

最初は、高タンパク質食でもインスリンが大量分泌されるという文章を読んだときは、タンパク質だけを食べた場合もインスリンスパイクが起こるんだと思ってしまいましたよ。

現代日本で糖尿病が増えている原因がわかった気がする

今回、いろいろと調べていたら、なぜ、日本で肥満が増えつつあるのかがわかってきました。下の記事でも書いたのですが、日本人の摂取カロリーは減っていますし、糖質摂取量も減っています。

摂取カロリーが減っても肥満者が増えているから肥満の原因はカロリーだけでは説明できません。また、糖質摂取量も年々減っているので、日本人の肥満率上昇を糖質摂取量の増加とすることもできません。

なぜ、カロリー摂取量も糖質摂取量も減っているのに肥満率が増えているのか、ずっと疑問だったのですが、「臨床栄養士のひとり言」さんの記事を読んでひらめきましたよ。

 

現代人がよく食べる料理を思い起こしてみましょう。

牛丼、カツ丼、天丼、ハンバーガー、カツサンド、ハムサンド、サケ弁当、のり弁当、生姜焼き弁当、ビーフカレー、ポークカレー、天ぷらうどん、肉うどん・・・。

いろいろとありますが、ほとんどの料理が、炭水化物とタンパク質がセットになっています。どんぶり飯だけを食べてもインスリンスパイクは起こりますが、牛丼になるとタンパク質もセットで炭水化物を食べますから、さらに激しいインスリンスパイクが起こります。バランスの良い食事をすればするほど、炭水化物とタンパク質の同時摂取になりますから、大量にインスリンが分泌されて中性脂肪として体に蓄積されます。

戦前であれば、タンパク質の摂取量が今よりも少なかったので炭水化物のみの摂取で済む食事が多かったでしょう。だから、炭水化物ばかり食べても太りにくかったのかもしれません。

しかし、現代は、炭水化物とタンパク質がセットになっている食べ物が多いですよね。寿司はその典型です。回転寿司屋に行く機会が多い人だと、インスリンスパイク起こしまくりですね。

当然、炭水化物+タンパク質食はインスリンを一気に大量に分泌するのですから、すい臓への負担も大きくなるはずです。だから、炭水化物中心食だった時代よりも、現代の方が、カロリー摂取量が減ろうが糖質摂取量が減ろうが、糖尿病になる人が多いのではないでしょうか?

 

糖質制限批判には、その理屈はおかしいんじゃないかと思うことが多いです。でも、どこがおかしいかを考えて、いろいろと調べてみると新たな発見があるのですから、糖質制限を批判している人たちにも感謝しないといけませんね。

ありがたや~、ありがたや~。

 

フェイスブックやツイッターで、糖質制限の話題を出す機会がある方は、「臨床栄養士のひとり言」さんの記事をシェアしておきましょう。高タンパク質食でもインスリンスパイクが起こると言う人が出てきたときには、インスリン分泌のグラフを見せれば簡単に反論できますよ。

参考文献

男性が中年になるとお腹が出る原因はなんだ?

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男性は、若い時はスマートだったのに中年に差し掛かるとお腹が出てきますよね。

一般的によく言われている原因は、食べ過ぎと運動不足です。あと、加齢に伴って代謝が悪くなるから脂肪が蓄積すると聞くこともあります。

食べ過ぎている感じでもないし、運動量も若い時からそんなに変わっていないのに中年になるとお腹が出てくるのは、代謝が悪くなるからなのでしょうか?

お腹だけが太る

町中で中高年の男性を見ていると、腕や脚はそんなに太くないのにお腹だけが前にポッコリ出ている人が多いように感じます。中には、腕や足も太くてお腹が出ている男性もいます。いわゆる恰幅が良い方ですね。

普通に考えれば、太るというのはお腹だけでなく足や腕も太くなることなので、恰幅の良い男性だけが太っているとなりそうです。でも、多くの中高年男性は、お腹以外は標準体型です。ただ、お腹だけが前に反りだしているのです。

お腹がポッコリと前に出ている男性は、米、パン、麺類を食べるのを控える糖質制限をすればお腹をへこませれます。糖質を摂取すると、インスリンが分泌されて糖質を脂肪に変えて体に貯めこむから、糖質摂取をやめれば脂肪がつきにくくなるわけです。

でも、糖質制限でお腹の脂肪が減るのは、インスリンがたくさん分泌されないからだけではない気がします。

ビタミンB群不足でクエン酸回路が回らない

体に溜まった脂肪が減るのは、脂肪をエネルギー利用しているからです。

人間は、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素からアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーを作り出します。このATPをたくさん作り出しているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアは、三大栄養素から作られたアセチルCoA(コーエー)を主原料にしてクエン酸回路を回し、ATPを生み出します。

ミトコンドリアがクエン酸回路を回すためには、全8種類のビタミンB群のうちビタミンB1、B2、ナイアシン、B12、葉酸、パントテン酸の6種類を必要とします。さらに糖質、脂質、タンパク質をアセチルCoAに加工するためにも、以下に示すようにたくさんの種類のビタミンB群を消費します。

  • 糖質:B1、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン
  • 脂質:B2、ナイアシン、パントテン酸
  • タンパク質:B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸

つまり、ATPの主原料となる糖質、脂質、タンパク質を摂取していても、全8種類のビタミンB群を十分に摂取していなければクエン酸回路を回せないのです。

中高年男性はビタミンB群不足か?

お腹がポッコリと出ている中高年男性は、食べ過ぎや運動不足だけでなくビタミンB群が不足していてクエン酸回路が回せなくなっているのではないでしょうか?

これは、加齢に伴う代謝不良と同義のような気がします。

ビタミンB群不足が、お腹ポッコリの原因だとすると、なぜ中高年男性はビタミンB群が不足するのでしょうか?その理由は、米、パン、麺類を食べているからでしょう。

三大栄養素からのカロリー摂取は糖質を6割、脂質とタンパク質を2割ずつとされています。しかし、この割合でカロリーを摂取していると、間違いなくビタミンB群が不足します。下の記事で、ご飯、卵、牛肉、豚肉、鶏肉のビタミンとミネラルの含有量をまとめた表を掲載していますが、ご飯のビタミンB群含有量は、他の食品と比較して極めて少ないです。

 

だから、炭水化物中心食だと以下のような悪循環が起こるのかもしれません。

  1. ビタミンB群の摂取量が少ないからクエン酸回路が回せない
  2. そして、エネルギー不足に陥り何かを食べてビタミンB群を補給
  3. 同時に不要な三大栄養素まで食べてしまう
  4. エネルギー需要を超えて食べた三大栄養素は脂肪として蓄積

ビタミンB群をしっかり摂取するには、肉、卵、魚などの動物性食品中心の食事に切り替えないと難しいです。言い方を変えると、米、パン、麺類のように炭水化物が多く含まれている食品を食べている余裕なんてないのです。

特にビタミンB群が豊富に含まれているのはレバーです。なので、お腹が出ている中高年男性は1週間に1回くらいレバーを食べてビタミンB群をしっかりと補給した方が良いでしょう。

ビタミンB群のサプリメントも検討する

長年、炭水化物中心の食事をしてきた人だと、慢性的にビタミンB群が不足しているかもしれません。

ビタミンB群は、皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせない栄養素です。だから、肌あれや皮膚の乾燥、口角炎、口内炎、皮膚炎、粘膜疾患などがよく起こる場合には、ビタミンB群が足りていない可能性があります。当然、ビタミンB群不足でクエン酸回路も回せなくなるので、お腹がポッコリと出てきます。

私は、この1年くらいの間、ビタミンB群のサプリメントを継続して服用しています。以前は、髭を剃ると肌が荒れたり赤くなることもありましたし、朝起きた時に顔から粉を吹くこともありました。

でも、レバーを食べた翌朝は肌の調子が良かったので、レバーの栄養価を調べてみると、ビタミンB群が豊富に含まれていることに気づきました。他にもビタミンA、亜鉛、鉄もレバーには豊富に含まれていて、これらも皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素だとわかりました。

レバーは1年半くらいの間、1週間に200グラムほど食べています。ビタミンB群のサプリメントも併用しているおかげか、今は肌の調子が良いです。髭を剃っても肌がひりひりしませんし炎症を起こすこともありません。顔から粉も吹きませんね。

試したビタミンB群のサプリメントはDHCのものです。ドラッグストアで60日分が400円前後で買えます。最近は、小林製薬のビタミンB群のサプリメントを試しています。こちらは60日分が600円ほどします。DHCの方が全体的に各成分の含有量が多いです。ただ、ビオチンは小林製薬の方が含有量が多くなっています。私が試した感じでは、どちらも大きな差はなさそうですね。

男性は亜鉛が不足しやすい

あと、男性は亜鉛も不足しやすいです。亜鉛は牛肉やレバーに多く含まれていますが、長年、炭水化物中心の食事をしてきた中高年男性だと体内の亜鉛量が大幅に減っている可能性があります。通常、亜鉛は体内に2グラムほどあるのですが、50代になると10代や20代の人との比較で1割から2割ほどになっているそうです。

亜鉛は、体内で多くの酵素を助ける働きをし、また、細胞分裂にも欠かせないミネラルですから積極的に摂取した方が良いでしょう。

私は1年半ほど亜鉛のサプリメントを試しています。肌の調子を見た感じだと、以前は亜鉛が不足していたのだろうと思いますね。ビタミンB群とともに摂取しておくと良いでしょう。使っている亜鉛のサプリメントは、ディアナチュラとネイチャーメイドのものです。ディアナチュラは1粒14mg、ネイチャーメイドは1粒10mgの亜鉛含有量です。

長期間、肉や卵を控えめにしてきた人であれば、もっと亜鉛を摂取した方が良いでしょう。ちなみに30代から60代までの男性は、亜鉛の1日の耐用上限量が45mgです。亜鉛は1日に10mg消費すると言われており、また、食事での亜鉛吸収率が30%程度とされているので、耐用上限量近くまで亜鉛を摂取しないと不足分を補うのは難しいでしょうね。

鉄もエネルギー産生に必要

ATP産生には、ビタミンB群の他に酸素も必要です。酸素は赤血球によって体の隅々に運ばれますが、赤血球の構成成分である鉄が不足すると細胞への酸素供給が不足し、うまくエネルギーを作り出せなくなります。鉄も亜鉛と同じように肉類に多く含まれていますから、長期間、肉類を控えてきた人は、鉄も不足しているでしょう。

特に玄米を食べている場合には、鉄が不足しやすいです。玄米には、ミネラルの吸収を阻害するフィチン酸が多く含まれているため、他の食品から鉄を摂取していても玄米と一緒に食べていると鉄が不足してしまうのです。

鏡の前でアッカンベーをして、瞼の裏が白いと鉄不足です。舌くらい赤ければ鉄は足りています。爪のように薄いピンク色だと鉄不足かもしれませんね。また、顎に大人ニキビができやすい人も鉄不足が疑われますし、氷をバリバリと食べたくなる場合も鉄が足りていない可能性があります。

私は、瞼の裏は赤いですが以前よりも薄くなっているような気がします。なので、5ヶ月ほど鉄のサプリメントを試しています。DHCのヘム鉄(1日目安10mg)を服用していますが、鉄が不足している人だともっと多く摂取する必要があるでしょうね。

なお、亜鉛と鉄は、ビタミンCやクエン酸と同時摂取すると吸収率が高まります。

 

とりあえず、中年と呼ばれる年代に差し掛かった男性は、糖質制限をして肉、卵、魚をたくさん食べれば、ポッコリお腹をスッキリさせれます。ビタミンB群、亜鉛、鉄をこれらの食品からしっかりと補給して、三大栄養素を効率的にエネルギーに変えていきましょう。

参考文献

夏は暑さで運動できないから糖質制限でダイエット

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夏になると薄着になるので露出が増えます。なので、無駄なお肉が腕や脚についていると、それが目立つのでダイエットしてすっきり見せたいと思うわけです。

しかし、ダイエットを志すものの、夏の暑さに負けて運動したくなくなるのが人情です。だから、夏に運動してダイエットしようとするのは、とても難しいのです。

夏は食事を見直す良い機会

そうすると、夏のダイエットは、食事を意識的に変えることが重要になってきます。

ダイエット食の定番は、低カロリー食ですが、夏の疲れやすい時期に食事量を減らすようなダイエットをすべきではありません。むしろ夏バテしないようにしっかりと栄養補給すべきです。

しかし、夏の定番である冷やし中華や素麺のようなさっぱりとした炭水化物では、大した栄養補給ができません。だから、夏も元気に過ごすためには、炭水化物を控える糖質制限をし、炭水化物の代わりに肉や卵、魚などの動物性食品中心の食事に切り替える必要があります。

そもそも、炭水化物(糖質)を多く含む食品は低栄養食品の代表選手。それなのに糖質たっぷりだから、米や麦中心の食事だと体の中に脂肪が蓄積されて肥満しやすくなります。だから、夏にダイエットしようと思うなら、糖質制限をして、タンパク質と脂質はしっかり補給しないと栄養不足になって体が暑さに負けてしまいます。以下の記事に白米のビタミンとミネラルの含有量を掲載していますから参考にしてください。これを見れば、白米中心食だとビタミンとミネラルが不足していくことがわかるはずです。

肉や卵をしっかり食べてクエン酸回路を回す

人間は、体内でアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーを作り出す際にミトコンドリアでクエン酸回路を回します。

クエン酸回路を回すためには、ビタミンB群が必要になります。そして、ビタミンB群を多く含む食品が、卵、牛肉、豚肉、鶏肉などの動物性食品なのです。動物性食品ばかりを食べていると太るように思いますが、ビタミンB群を多く摂取できるので、ビタミンB群が乏しい米を食べるよりも、むしろ効率的にエネルギーを作り出せます。

だから、冷麺やざるそばを食べるより、焼肉や焼き鳥を食べた方が無駄な脂肪をエネルギーに変換しやすくなるので太りにくくなるわけです。

そして、多くのエネルギーを作り出せる体になれば、暑い夏でも疲れにくくなります。体が疲れないということは、体を動かしやすい状況が持続することでもあるので、無意識のうちに活動量が増えます。これも、夏に糖質制限をすることの利点といえます。当然、活動量が増えれば太りにくくなりますからダイエットしやすくなります。

夏に活力を維持したままダイエットするには糖質制限しかないでしょう。ビタミンとミネラルもしっかりと補給できますから、美容面からも糖質制限はおすすめです。

ただ、注意すべきことがあります。それは食事量を減らさないことです。常に空腹を感じているような食事量では体が疲れます。減らすのは糖質量であり食事量ではありません。食事量を減らさなければならないのは、明らかに食事量が多い人だけです。

あと、便秘対策に脂質を多く摂取すべきですし、海藻類を食べてマグネシウムを補給することも大切です。


GI値が低い食品ほどタンパク質が多く含まれているのが血糖値が上がりにくい理由か?

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肥満の予防や解消のためには太りにくい食品を食べることが大切だと言われてますよね。

最近では、糖質(炭水化物)が多く含まれている食品ほど太りやすいことがわかってきたので、糖質制限をしてダイエットをしたり体重管理している人が増えています。また、糖質は急速に吸収されると、すい臓から多くのインスリンが分泌されて糖質が脂肪に変わってしまうので、糖質が含まれていても体内への吸収速度が遅い食品の方が太りにくいと言われています。

食品ごとに血糖値の上がり方を観察しているブログ

血糖値の上がりやすい食品については、グリセミック・インデックス(GI値)という指標が世の中に公表されています。検索エンジンで検索すれば、食品ごとのGI値を調べられます。GI値は、ブドウ糖の血糖値の上がる速度を100とし、それを基準に血糖値の上がりやすさを80とか50とかに区分して食品を表示しています。

また、インターネット上には、血糖測定器を使って自身の血糖値の推移を公開しているブログがあります。代表的なのが、「秘密結社ブドゥ党」という教典です。

例えば、白米だと、以下のように血糖値が上がったことが報告されています。

  • 食前=80mg/dl
  • 食後30分=140mg/dl
  • 食後60分=170mg/dl
  • 食後120分=140mg/dl

白米はGI値が70なので比較的血糖値が上がりやすい食品です。

 

では、白米だけでなく、その上に玉卵を乗せた卵かけごはんの場合はどうなるかと言うと、「実験A-53 リクエスト編⑪ たまごかけご飯は普通に血糖値上がるに決まってる…???」の記事で以下のような結果が出ています。

  • 食前=78mg/dl
  • 食後30分=106mg/dl
  • 食後60分=97mg/dl
  • 食後120分=120mg/dl
  • 食後180分=108mg/dl

同じ量の白米を食べてるのに卵をかけただけで血糖値の上昇が緩やかになっていますね。

どういうことでしょうか?

考えられるのは、卵をかけたことで白米に含まれている糖質の吸収速度が抑えられたのではないかということです。白米だけだと、糖質が簡単に腸から体内に入ってしまうけども、卵が消化吸収を邪魔して糖質が体に入るスピードを遅くしたのだという推測です。

おそらく、多くの医師や栄養士の方も、このように考えると思います。また、GI値は糖質の吸収されやすさを基準にしていますから、血糖値が上がりにくいのは、糖質の吸収速度が遅いからだと考えるのが一般的でしょう。

インスリンの分泌量を考慮すると

さて、GI値は、いったいどのようにして測定しているのでしょうか?

インターネット上を探してみると、GI値を測定している組織のホームページが見つかりました。ホームページは2種類あったので、どちらにも目を通してみると、健常者かつ肥満でない人は測定試験を受けれるそうです。

被験者の食後の血糖値を測定して、食品のGI値を調べるのが目的なのでしょうね。食品メーカーや飲食店が、自社商品や提供するメニューが、どれだけ血糖値を上げるのかを測定し、GI値が低ければヘルシーだと宣伝するのかもしれません。

 

目的はおいといて、GI値の測定が、健常者かつ肥満でない人を被験者にしていることに注目しなければならないはずです。

どういうことか説明しましょう。

健康な人は糖質を摂取しても、多くのインスリンが分泌されるので血糖値が上昇しにくく、かつ上がった血糖値を速やかに空腹時血糖値の上限(109mg/dl)以下に下げれます。つまり、健康な人が糖質を摂取した場合と糖尿病の方が糖質を摂取した場合では、血糖値の上がり方も下がり方も異なるのです。

もう少しわかりやすく説明します。

例えば、空腹時血糖値が100mg/dlの状態で、おにぎり1個を食べた時、まったくインスリンが分泌されなかったと仮定して180mg/dlまで血糖値が上がるとします。しかし、健康な人は糖質を摂取すると速やかに多くのインスリンが分泌されるので、血糖値が下がります。例えば、インスリンが分泌されて50mg/dlだけ血糖値を下げたと仮定すれば、130mg/dlしか血糖値は上がりません。

GI値の測定が健常者で行われるのですから、測定結果にはインスリンが血糖値を下げた影響も反映されます。すなわち、血糖値を上げた総量(GROSS)は80mg/dlなのにインスリンの関与のせいで差引(NET)で30mg/dlしか血糖値を上昇させなかったと評価されてしまうのです。

純粋にその食品がどれだけ血糖値を上げるかを評価するのであれば、インスリンの影響を排除しなければなりません。でも、インスリンの影響を排除しようと思うと、インスリンがほとんど分泌されない1型糖尿病の方を被験者にすることになるので、道義的に許されないでしょう。

タンパク質が含まれる食品はGI値が低くなりがち

話を卵かけごはんに戻します。

卵かけごはんは、卵が白米に含まれる糖質の吸収を邪魔して血糖値が上がらなかったのではないかと推測しました。しかし、白米だけを食べた場合と卵かけごはんを食べた場合でインスリンの分泌量に違いがあったらどうでしょうか?

おそらく、卵かけごはんを食べた時の方が、多くのインスリンが分泌されているはずです。その理由は、糖質だけを摂取した場合よりも、糖質とタンパク質を同時摂取した場合の方がインスリンの分泌量が多いからです。これについては、以下の過去記事を参考にしてください。

白米よりも卵かけごはんの方が、食後のインスリン分泌量が多いのであれば、卵かけごはんの方が食後の血糖値の上がり方が緩やかになるはずです。厳密には、血糖値が一気に上がっているのですが、すい臓ががんばって多くのインスリンを分泌しているので、血糖測定機では血糖値が上がってないように見えるだけなのだと思います。

ただ、これも推測でしかありません。事実を知りたければ、インスリンを測定する機器を使う必要があるでしょうね。

 

GI値の高い食品から低い食品まで、糖質に対してタンパク質がどの程度含まれているかの割合を調べてみました。すべての食品を調べるのは時間がかかるので、GI値がわかる食品の中から、一部をカロリーSlismを参考にタンパク質が糖質の何倍含まれているかを表にまとめました。なお、GI値は、米井嘉一先生の「早く老ける人、老けない人」の39ページに掲載されているものを使っています。

食品のタンパク質と糖質の割合
食品名 GI値 タンパク質/糖質(倍)
コーンフレーク 80~90 0.096倍
白米 70~79 0.067倍
小麦 60~69 0.172倍
ざるそば 50~59 0.243倍
えんどう豆 40~49 0.504倍
ヨーグルト 30~39 0.734倍
ひよこ豆 30~39 0.442倍
そら豆 20~29 0.527倍
大豆 10~19 3.180倍

この表を見ると、GI値の高い食品ほど糖質に対するタンパク質の割合が小さくなる傾向があります。

したがって、糖質が含まれていてもタンパク質を多く含む食品は血糖値を上げにくいという推測が可能です。ただ、GI値の低い食品は、消化しにくい豆類が多いので、糖質の吸収速度が遅いのではないかという推測もできます。

 

糖尿病は、インスリンの分泌量が少なくなって血糖値を下げれなくなる病気です。インスリンが出なくなるのは、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞が壊れるからです。そして、2型糖尿病は、インスリンの出し過ぎでβ細胞を酷使した結果、インスリン分泌能が低下することが原因で発症します。

もしも、GI値の低い食品を食べても血糖値が上がりにくいのが、糖質とタンパク質の同時摂取で多くのインスリンを分泌して血糖値を下げているからだとすると、GI値が高い食品を食べることよりもβ細胞を酷使しているかもしれません。

β細胞に負担をかけないようにするには、GI値にこだわるよりも、糖質摂取量を減らした方が良いと思いますよ。

参考文献

理屈では糖質制限でガン細胞へのブドウ糖の供給をストップできるはずだけど事実はどうなの?

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現在、日本人の死因の第1位はガンです。だから、ガン告知を受ければ誰でもショックを受けます。もう自分に残された人生が残り少ないと言われるようなものですから。

治療でガンを克服している人はたくさんいますが、やはり死因第1位のガンにはかかりたくないですよね。ガンで死にたくなければ、ガン治療の前にガンを予防するための生活習慣を身につけることが大切でしょう。でも、テレビの健康番組を見ていても、食の洋風化がガンの原因とか、バランスの良い食事がガンにならないとか、抽象的なことばかりで、どう生活習慣を変えれば良いのかわかりません。

酸素を吸わないと十分なエネルギーを確保できない

近年、食事での糖質の摂取量を減らす糖質制限が注目されています。この糖質制限にガン予防の効果があるのではないかと言われています。糖質制限によるガン予防は理論的で、納得のいくものです。

 

人間の細胞は、解糖系とミトコンドリアの2つのエネルギー産生工場を持っています。解糖系は無酸素下でアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーを生みだし、ミトコンドリアは酸素を利用してクエン酸回路(TCAサイクル)を回しATPを生み出します。

解糖系はブドウ糖(糖質)を主原料としでATPを生み出しますが、1分子のブドウ糖からは2分子のATPしか産生できません。一方のクエン酸回路は糖質、脂質、タンパク質から作られるアセチルCoA(コーエー)1分子から12分子のATPを産生できます。

解糖系はクエン酸回路より2.5倍速くATPを産生できるとされています。しかし、解糖系では、クエン酸回路が1回転する間に生み出せるATPは計算上5分子なので、クエン酸回路1回転で得られる12分子に及びません。人間が酸素を吸ってクエン酸回路でATPを産生しなければ、エネルギー不足になることは理解できると思います。呼吸をしなければ生きていけないのも、これが理由と考えられますね。

ガン細胞は解糖系を使ってATPを生み出す

糖質制限でガンを予防できるのではないかという理屈は、ガン細胞が解糖系を使ってしかATPを産生できないとされているからです。つまり、ガン細胞は無酸素下でブドウ糖を主原料にして生み出されたATPだけで生存、増殖できるのです。

しかし、解糖系ではクエン酸回路が1回転する間に5分子のATPしか生み出せず、クエン酸回路1回転の12分子よりも少ないのでエネルギー不足になるはずです。ところが、ガン細胞は正常細胞の3倍から8倍のブドウ糖を消費してATPを生み出しているので、エネルギー不足にならないのです。仮に3倍のブドウ糖の取り込みだったとしても、正常細胞がクエン酸回路を1回転する間に15分子のATPを得られる計算なので、酸素なしでもエネルギー不足になりません。

そこで、ガン細胞の増殖を阻止するためにブドウ糖の供給を断つ糖質制限をすれば良いのではないかと考えられます。理論的には、糖質を摂取しなければ、ガン細胞を兵糧攻めできるから、ガン細胞は増殖できず、そのうち今あるガン細胞も死んでしまってガンが治るとなりそうです。

しかし、人間は肝臓で糖新生によりブドウ糖を生み出しますから、ガンに糖質制限は効果がないのではないかとも言われています。糖新生で生み出されたブドウ糖をガン細胞が取り込んで増殖できると考えられるからです。

免疫栄養ケトン食

頭の中で、糖質制限をすればガンが治るかどうかを考えても、実際にやってみなければ結論は出ません。

糖質制限でガン治療をする人がどこにいるのか?

日本にいたんですね。外科医の古川健司先生が、19人のガン患者に極端な糖質制限食を試みたところ、83%に効果があったことが著書の「ケトン食ががんを消す」で述べられています。

その治療成績を見ると、がんの完全寛解(CR)が5人、がんが30%以上消失した部分奏効(PR)が2人、がんの進行制御(SD)が8人にも上り、増悪(PD)はわずか3人にすぎません
完全寛解が部分奏効よりも多いのは、がんの顕著な縮小や転移巣の消失によって、手術に持ち込めた症例が多いためです。
完全寛解率は約28%、完全寛解も含めた奏効率(がんが消失、もしくは縮小した患者さんの割合)は約39%、SDをくわえた病勢コントロール率に至っては、実に83%にも上っています。(10ページ)

古川先生がガン患者に指導している極端な糖質制限食は、糖質摂取量を95%カットするスーパーケトジェニックで、脂質の摂取に積極的にMCTオイルを活用したり、魚に多く含まれている不飽和脂肪酸のEPAを多く摂取するものです。古川先生は、ご自身が行っているスーパーケトジェニックを免疫栄養ケトン食と名付けています。

糖質を95%カットですから、京都高雄病院の江部康二先生が推奨している1日の糖質摂取量を60グラム未満に抑えるスーパー糖質制限食よりも厳しい制限です。

これだけ厳しく糖質制限をすれば、ガン細胞を兵糧攻めできるわけですね。さらにEPAはガン細胞をやっつける働きがありますし、MCTオイルに含まれる飽和脂肪酸の中鎖脂肪酸は血中のケトン体濃度を高め、体に良い効果をもたらすのだそうです。

 

ガン細胞がブドウ糖を主原料にATPを生み出していることは90年前にオットー・ワールブルグによって明らかにされていたのですが、最近までガンの治療食に糖質制限を試そうとした医師はあまりいませんでした。

これは擦りこみのせいですよ。

何の擦りこみかって?

ブドウ糖が人間にとっての主要エネルギー源だという擦りこみですよ。

参考文献

血糖値スパイクは炭水化物スパイクだよね

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先日、朝の情報番組を見ていると血糖値スパイクが紹介されていました。

血糖値スパイクとは、糖質を摂取すると急激に血糖値が上がってインスリンが大量に分泌され、一気に血糖値が下げることです。グラフにすると鋭くとがった針のようになり、それが陸上競技のスパイクの歯に似ていることが血糖値スパイクと呼ばれる所以です。

この血糖値スパイクが、健康に良くないということから、最近注目を集めています。

糖質を摂らなければ血糖値スパイクは起こらない

以前から血糖値スパイクと同じ意味で、グルコーススパイクという言葉が使われています。グルコースはブドウ糖のことなので、ブドウ糖スパイクとも言います。

血糖値スパイクという言葉は、NHKの番組で登場してから使われるようになったみたいです。番組の内容は、神経内科医のたがしゅう先生のブログで紹介されているので、ご覧になってください。

血糖値スパイクを起こすのは、炭水化物(糖質)を摂取することが原因です。だから、糖質制限をすれば血糖値スパイクを起こしません。ところが、私が見た朝の情報番組では、糖質制限についてく触れてませんでした。

食べる順番を守れば良いのか?

その情報番組では、食事の際に食物繊維、タンパク質、炭水化物(糖質)の順番で食べれば血糖値が上がりにくくなると解説していました。

この順番で食事をすると太りにくくなるとも言われていますね。最初に食物繊維を食べておけば、その後で糖質を摂取しても吸収が遅くなるので血糖値が上がりにくいとされています。血糖値が上がらなければインスリンの分泌量も少なくなるので、糖質が脂肪組織に蓄えられにくくなるからです。

でも、最近、この説は本当に正しいのかと疑問に思うようになりました。その理由は、タンパク質を摂取してもインスリンの分泌量が増えるからです。糖質を摂取した時ほどはインスリンが分泌されませんが、それでも、タンパク質摂取でインスリン分泌量は空腹時よりも増えます。なお、タンパク質摂取でもインスリンが分泌されることについては以下の記事を参考にしてください。

先にタンパク質を摂取してインスリンを分泌させておけば、その後に糖質を摂取しても血糖値の上がり方が緩やかになるのではないでしょうか?

血糖値スパイクが起こるのは、インスリンが十分に分泌されていない状態で糖質を摂取するから起こるのだと思うんですよね。だから、タンパク質を先に食べておけば、空腹時に糖質を摂取した場合よりも血糖値の上がり方が緩やかになるような気がします。

インスリンを何度も大量に分泌させることが問題

糖尿病は、血糖値が高い状態が持続する病気です。糖尿病は、足が壊死したり、失明したり、腎臓が悪くなったりと様々な合併症を引き起こすので深刻な病気です。

糖尿病は、インスリンの分泌量が減って血糖値を下げれなくなった状態です。インスリンの分泌量が減るのは、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞の機能が衰えるからです。β細胞が衰えるのは、インスリンを分泌し過ぎるから。だから、無駄にインスリンを分泌させないことが糖尿病の予防には大切なことだと言えます。

空腹時の血糖値は、109mg/dlを超えていなければ正常とされています。

仮にインスリンが分泌されないという仮定で糖質を摂取した時に200mg/dlまで上がったとします。この場合、血糖値が空腹時の上限よりも91mg/dl高くなっていますよね。でも、糖質を摂取すればインスリンが分泌されるので、ここまで血糖値が上がることはありません。

インスリンの分泌で血糖値を80mg/dl下げることができれば、食後血糖値は120mg/dlまでしか上がりません。でも、インスリンの分泌で40mg/dlしか血糖値を下げれなければ160mg/dlまで血糖値が上がります。したがって、同量の糖質を摂取しても、インスリンを分泌する能力に個人差があるので、食後血糖値は人によって違いが出てきます。

 

糖質をたくさん摂取しても、血糖値が上がってないから問題なし。

と言うことではなく、糖質を摂取しても血糖値が上がっていないのは、β細胞を酷使してインスリンを大量分泌しているだけかもしれません。β細胞を酷使し続ければ、やがてインスリンの出が悪くなり血糖値が下がらなくなります。そうならないように糖尿病であろうがなかろうが、インスリンを大量分泌させるような糖質摂取は避けるべきです。

タンパク質の後に糖質を摂取すれば血糖値が上がりにくいと言っても、それは、先にタンパク質を摂取してインスリンを分泌しているから血糖値の上がり方が緩やかになっているだけかもしれません。大切なことは、インスリンを何度も何度も分泌させるような食事をしないこと、つまり、糖質摂取量を控えることではないでしょうか。

食べる順番なんて関係ありません。

いかにβ細胞に負担をかけないかが重要なのです。

血糖値スパイクは、インスリン分泌による血糖降下作用も考慮しています。しかし、本当に大切なことは糖質がどれだけ体内に入って来たかを知ることでしょう。

血糖値スパイクは、医療関係者しか理解できない言葉です。素人にも、わかりやすく伝えるなら炭水化物スパイクと言うべきですね。

デンプンは消化されればブドウ糖

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炭水化物の代表と言えば、デンプンです。デンプンは、米にたくさん含まれていますね。

また、甘味料の代表と言えば、ブドウ糖です。ブドウ糖は、以前は清涼飲料水に多く含まれていましたが、最近はブドウ糖を甘味料として使用していない清涼飲料水もあります。

デンプンは甘くなくブドウ糖は甘いことから、両者は全くの別物のように認識している人が多いです。しかし、両者は同じものです。違うのは、つながっているかどうかだけです。

デンプンを食べればブドウ糖になる

デンプンはブドウ糖がたくさんくっついてできた物質です。つまり、デンプンはブドウ糖の集合体でしかないのです。ただ、ブドウ糖がたくさんくっついてると甘みを感じないだけです。

デンプンは多糖類に分類されますが、食べるとαアミラーゼという消化酵素によって少糖類(デキストリン、イソマルトース、マルトトリオース、マルトース)に分解されます。さらにイソマルターゼやマルターゼという消化酵素がデンプンから生じた少糖類をブドウ糖(グルコース)まで分解します。

そして、ブドウ糖は小腸上皮細胞から体内に吸収され肝臓へ向かいます。

以上の流れを簡単に図示すると以下のようになります。

デンプンからグルコース

デンプンは食べてしまえばブドウ糖になるので、両者を明確に区別する理由は、ほとんどないと言えるでしょう。

ショ糖もブドウ糖に分解される

ついでに砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)の消化も見ておきましょう。

ショ糖は、ブドウ糖と果糖(フルクトース)が結合したものです。ショ糖を食べると消化酵素のスクラーゼが両者の結合を切断し、ブドウ糖と果糖に分解します。ちなみにブドウ糖も果糖も単糖類に分類されます。

スクロースから単糖類

デンプンもブドウ糖に分解されますし、ショ糖もブドウ糖に分解されます。どちらも大差ないと言えるでしょう。

乳糖の分解

さらにおまけで牛乳に含まれている乳糖(ラクトース)の分解過程も知っておきましょう。

乳糖は、ブドウ糖と脳糖(ガラクトース)の結合体です。食べると、ラクターゼという消化酵素によって両者の結合が切断されて、ブドウ糖も脳糖も小腸上皮細胞から体内に吸収されます。

ラクトースから単糖類

ただ、哺乳類は子供の時はラクターゼを持っていますが、大人になると失われていきます。だから、大人が牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなるんですね。でも、大人になってもラクターゼが残っている人もいます。こういう人は、牛乳を飲んでもお腹の調子が悪くなりにくいです。

 

世の中には、デンプンとブドウ糖は違うと言う人がいます。そのように言う人は、消化酵素まで考慮していないのでしょう。もしも、人間にαアミラーゼなどの消化酵素がなければ、デンプンをブドウ糖まで分解できないので、両者が別物という主張は成り立ちます。しかし、人間はαアミラーゼなどの消化酵素でデンプンをブドウ糖まで分解できるので、両者を同一と考えるのが妥当です。

一方、デンプンと同じようにブドウ糖の結合体であるセルロースは、食物繊維として扱われています。人間はセルロースを分解するセルラーゼという消化酵素を持っていないので、セルロースをブドウ糖まで消化して吸収できません。だから、セルロースは人間にとっては栄養素とはならない食物繊維扱いになっているのです。

とりあえず、デンプンは消化されるとブドウ糖になることを知っておけば、デンプンとブドウ糖は別物だという主張がおかしいと気付きますよ。

参考文献

冬の糖質制限は厳しめに

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冬は太りやすい季節なので、ダイエットの効果が出にくいです。冬は代謝が上がって痩せやすいと言われますが、冬に痩せたと言っている人を見たことがありませんし、自分自身も冬に体重が増えるので、やっぱり冬は痩せにくい季節だと思います。

それなのに冬に食事量を減らして体重を落とそうとすると、栄養不足になってしまうでしょう。冬に肌が乾燥して痒くなったりするのも、もしかしたら栄養不足が原因なのかもしれません。

栄養価の高い食品を食べる

栄養不足を予防するためには、単純に栄養価の高い食品を食べれば良いだけです。

そして、栄養価の高い食品の代表は、肉、卵、魚といった動物性食品です。なので、冬に栄養不足にならないようにするためには、しっかりと動物性食品を食べることが大切です。

一般的にビタミンやミネラルは、野菜や果物に多く含まれているように言われていますが、そんなことはありません。カロリーSlismで大根1本900グラムとゆで卵1個60グラムのビタミンとミネラルを比較すれば、ゆで卵の方がビタミンとミネラルの種類が豊富だとわかります。

さすがに大根を1本丸ごと食べれば、ビタミンCや葉酸は1日に必要な摂取量を満たせます。でも、1日に3回食事を摂る場合、他のビタミンやミネラルの中には、1食分も必要量を摂取できないものがいくつもあります。これは大根だけでなく、多くの野菜に言えることです。

米や小麦を食べてる余裕はない

野菜以外に米や小麦など炭水化物が多く含まれている食品からもビタミンとミネラルを補給できます。しかし、白米の栄養価は極めて低いので、毎食、白米を食べているとビタミンやミネラルの摂取量が不足してしまいます。白米と肉類の栄養価を以下の記事に掲載していますからご覧になってください。

野菜中心、米中心の食事ではビタミンとミネラルを補給できませんから、不足分を補おうと思うと肉や卵などの動物性食品もたくさん食べなければなりません。

だから、米やパンなどを食べている限り、ビタミンとミネラルの必要量をしっかり補給しようと思ったら、太るのはやむを得ないでしょう。

ビタミンとミネラルをしっかり補給したいけども太りたくないと言うのなら、栄養価の低い米やパンなど炭水化物(糖質)が多く含まれている食品を食べるのをやめるべきです。特に太りやすい冬は、ダイエットをしているのなら、他の季節よりも厳しめの糖質制限をしないといけないでしょうね。

糖質制限は、痩身法として注目を集めることが多いですが、私はビタミンやミネラルといった微量栄養素を多く摂取できる食事だと思っています。米や小麦に代えて肉、卵、魚を食べるのですから、ビタミンとミネラルを多く補給できるのは当然です。

太りやすい冬、肌が乾燥しやすい冬こそ糖質制限をしましょう。と言うか、1年中、糖質制限をしておけば問題ないんですけどね。

砂糖は筋肉の成長に大切らしいよ

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先日、何気なくテレビを見ていると砂糖のCMが流れていました。

そのCMでは、妊婦さんが映されていて、「砂糖(ブドウ糖)は筋肉の成長に必要なインスリンの分泌を促進します」みたいな解説がされていました。確かにインスリンの分泌は筋肉の発達に貢献しますよ。だからと言って無理やりインスリンを分泌させるために砂糖を食べる必要はないでしょう。

インスリンは常に分泌されている

基本的なことですが、すい臓からは常にインスリンが分泌されています。インスリンは血糖値を下げる働きをしています。一方、同じくすい臓から分泌されるグルカゴンは血糖値を上げる働きをします。このインスリンとグルカゴンが、常に綱引きをしているから血糖値が一定の範囲内に落ち着いているわけです。

炭水化物(糖質)を摂取すると血糖値が上がりますから、インスリンは通常分泌されている量では足りなくなります。そこで、すい臓はより多くのインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。この時、肝臓や筋肉に血糖をグリコーゲンとして貯蔵できる場合は、肝臓や筋肉に血糖が取り込まれます。肝臓や筋肉にグリコーゲンの空き容量がなければ、血糖は脂肪に変えられて脂肪組織に取り込まれます。

また、インスリンは骨格筋や脂肪組織でのタンパク質合成の促進にも関わっています。なので、砂糖を食べてインスリンを多く分泌させれば、骨格筋でのタンパク質合成が促進されるので、砂糖は筋肉の発達に貢献すると考えられます。

しかし、インスリンは常に分泌されているのですから、わざわざ砂糖を食べてドバっと大量にインスリンを分泌させる必要はないでしょう。また、タンパク質を食べても、インスリンの分泌量は若干増えますから、砂糖を食べなければ筋肉が衰えるとは考えにくいんですけどね。ちなに炭水化物とタンパク質を同時摂取した時は、炭水化物だけを摂取した場合よりも多くのインスリンが分泌されます。インスリンが弾切れを起こさないようにするためにも、炭水化物とタンパク質の同時摂取は控えた方が良いでしょう。

妊婦が糖質をたくさん摂取するのは良くないだろう

さて、冒頭で述べた砂糖のCMですが、あれを見ると妊婦さんは積極的に砂糖を食べた方が胎児の成長に良さそうな印象を受けます。

でも、妊婦さんが糖質を多く摂取するべきではないでしょう。と言うのは、妊婦さんはインスリンの効きが悪くなっているからです。このインスリンの効き目が悪くなって血糖値を下げれなくなっている状態をインスリン抵抗性と言います。産科医の宗田哲男先生の著書「ケトン体が人類を救う」では、妊娠すると非妊娠時よりも軽度の糖代謝異常を起こすことが解説されています。

糖代謝異常は、インスリン抵抗性とインスリンの分泌量の低下が問題となります。妊婦さんが発症する妊娠糖尿病はインスリン抵抗性が増大している状態であり、インスリン分泌には問題ありません。むしろ、インスリン分泌量は非妊娠時よりも増加しているそうです。

つまり、妊婦さんの体は、糖質を食べても、それを体内へ取り込むことを拒否しているのです。それなのに砂糖を食べてインスリンの分泌を促進させようとすると、すい臓が疲弊してインスリンの弾切れが起こり本物の糖尿病に移行してしまうのではないでしょうか?

妊婦さんが砂糖を食べても、体から糖質の取り込みを拒否されるのですから、妊婦さんの健康維持と砂糖の摂取とは無縁のはずです。

人間の食性

そもそも、砂糖なんて昔の人は大して食べていないんですから、それが筋肉の発達や妊婦さんの健康に重要な食べ物だとは思えません。砂糖を食べるよりも、肉を食べた方が健康に良いと思いますよ。それが人間の食性なのですから。

「野人エッセイす」の以下の4記事を読めば、人間が肉食だということがよくわかります。

この4部作は名作。一読することをおすすめします。

参考文献

すい臓のβ細胞の再生が糖尿病治療に活かされれば糖質制限の認知度が高まりそう

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2016年12月に東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学分野の山田哲也准教授、突田壮平助教、片桐秀樹教授らのグループが、将来の糖尿病治療を変えるかもしれない発見をしました。

これまでも現在も、糖尿病を発症すると治すことができないので、今以上に糖尿病を悪化させないようにする治療が行われてきました。糖尿病と診断されても、糖尿病が引き起こす合併症を未然に防げれば健常者と同じような生活を送れますから、糖尿病治療は合併症を併発しないようにすることが大切だとされています。

それが、今回の山田先生、突田先生、片桐先生らのグループの発見により糖尿病完治の可能性が出てきたのです。

マイクロRNAの静脈投与でβ細胞が再生

上記の研究内容は東北大学のプレスリリースに掲載されています。新聞でも報道されていたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

このページの下の方にあるPDFをダウンロードして読んでみると、マイクロRNA(miRNA)を糖尿病マウスに投与したらインスリン分泌が改善したと書かれていました。

同定した2種類のmiRNA(miRNA-106bとmiRNA-222)をインスリン分泌低下によって発症した糖尿病マウスに、静脈注射により投与したところ、膵β細胞が増殖することによってインスリン分泌が回復し、血糖値が改善しました。

糖質を食べると血糖値が上がります。血糖値が上がると、すい臓のβ細胞はインスリンを分泌して、筋肉や脂肪組織に血糖を取り込ませます。そうすると、元の状態まで血糖値が下がります。すい臓のβ細胞が壊れると、インスリンが分泌されなくなるので高血糖の状態が持続します。これが糖尿病です。

β細胞の自己再生能は低いので、一度壊れてしまうと元に戻すのが困難です。だから、糖尿病と診断されてインスリン分泌能が低下していることがわかった段階では、根治が厳しい状況となっています。

ところが、上の研究結果によると、糖尿病マウスではありますが、miRNAを静脈注射により投与したらβ細胞が増殖してインスリン分泌が回復したということですから、これが糖尿病治療に活かされるようになれば糖尿病を完治させることができるかもしれないのです。

インスリン抵抗性とインスリン分泌不全

糖尿病は、太っている人がなる病気だと思っている人は多いです。確かに太っていると、糖質摂取で上がった血糖値を下げにくくなります。筋肉や脂肪組織が、もうこれ以上血糖を取り込む余裕がないので拒否している状態です。これをインスリン抵抗性と言います。

インスリン抵抗性が増大すると、ちょっとのインスリン分泌で血糖を処理できなくなくので、すい臓のβ細胞がさらに多くのインスリンを分泌して、血糖を筋肉や脂肪組織に取り込まそうとします。インスリン抵抗性がある状況では、多くのインスリン分泌が必要になるので、β細胞に大きな負担を与えます。だから、太ってインスリン抵抗性が増大している人が糖質を摂取すると、β細胞が多くのインスリンを分泌して血糖を処理するので、β細胞が傷むのが早まります。

そして、β細胞が壊れてインスリン分泌不全に陥ると、糖尿病と診断されます。

インスリン抵抗性が増大していても、β細胞が元気であればインスリン分泌不全には陥っていません。だから、ダイエットしてインスリン抵抗性を改善できれば、β細胞が壊れるのを防げる可能性があります。インスリン抵抗性がなくても、もともとインスリン分泌が弱い人は、太らなくてもβ細胞が壊れて糖尿病を発症する危険があります。

インスリン抵抗性とインスリン分泌不全の関係を簡単に説明すると、以下の表のようになります。

インスリン分泌不全とインスリン抵抗性

β細胞が壊れてインスリン分泌不全に陥るのが糖尿病です。β細胞が元気でもインスリン抵抗性がある人は糖質摂取でβ細胞を酷使することになるので、将来的に本物の糖尿病になる危険があります。

 

多くの人が肥満が糖尿病の原因だと思っています。私も、以前はそう思っていました。だから、標準体重以下に自分の体重を抑えておけば糖尿病にはならないだろうと思い込んでいました。

ところが、糖質制限をするようになって、糖尿病は糖質の頻回摂取や大量摂取でβ細胞を酷使した結果発症する病気だとわかりました。今回の山田先生、突田先生、片桐先生らのグループの研究結果が臨床に活かされるようになれば、きっと多くの人が糖尿病はβ細胞が壊れてインスリンが分泌されにくくなる病気だと理解するようになるでしょう。

そうすると、多くの人がβ細胞を酷使してインスリン分泌能が低下する原因が、糖質の頻回摂取や過剰摂取だと気付くと思います。これがわかれば、肥満だから糖尿病になるのではないと理解できますし、糖尿病予防には糖質制限が大切だと理解できるはずなんですけどね。


白米を食べると食欲が出る

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もうかなり昔の話です。

近所に980円で焼肉が食べ放題のお店がありました。時間は無制限で、焼肉の他にご飯、麺類、コロッケ、サラダなど、いろんなものが食べ放題というすばらしいお店です。

ただ、焼肉は、自分で食べたい部位を注文できず、ロース、カルビ、レバーなどの盛り合わせしか食べれません。それでも、980円ですから文句は言いません。そして、毎回、食べに行くと大満足できました。

肉だけをたくさん食べれない

ある日、その焼肉屋さんに友人と2人で食べに行きました。

最初に注文した肉は、1皿に2人前盛ってあるのですが、いつもよりも少な目でした。なので、1皿目は短時間で完食。続いて2皿目を注文し、こちらも少な目だったので容易に食べきることができました。

まだ、お腹がいっぱいになるほどは食べていません。この日の肉の盛り方だと、あと1皿は食べれると思ったので、3皿目を追加注文しました。すると、出てきたのは、これまでの1皿に盛ってあった肉よりも2倍以上は多い量。さすがにこんなに食べることはできないでしょう。それでも、残すと追加料金を払わなければならないので、時間をかけてゆっくりと食べていきます。

でも、肉ばかりをそんなにたくさん食べれません。まだ、お皿には半分以上残っていました。もう満腹だから残すしかないのかと追い銭を覚悟する場面もありましたが、少し休んでから再度焼肉を食べきることにチャレンジ。

焼肉のお供にご飯

もう一度、今まで食べた肉の量を思い出します。すると、これまでに1食で食べた焼肉の量と比較して、それほど多くないと気付きました。むしろ、今回の方が食べてる量は少ない気がします。なぜなら、いつもは焼肉と一緒にご飯を食べていたからです。それも、2杯も3杯も注文していましたから、絶対にこれまでに焼肉屋さんに食べに行った時よりも今回の方が食事量は少ないはずです。

ここである結論を出しました。それは、ご飯を食べれば満腹であっても焼肉を食べたくなるというものです。

試しに白米を茶碗に1膳よそってテーブルに戻り、それを1口食べてみました。すると不思議。もうこれ以上は食べれないと思っていた焼肉が、するするとお腹の中に入っていくのです。茶碗のご飯がなくなれば、またよそいに行って、焼肉と一緒に頬張ります。それを続けて、無事焼肉を食べきることができました。もちろん追加料金の支払いもなし。

パンパンに膨れ上がったお腹をさすりながら、お店を出たのでした。

食欲をかきたてる白米パワー

それにしても、なぜご飯を食べると食欲がわいてきたのでしょうか?

不思議ですね。満腹なんだから、ご飯を食べればなお焼肉を食べるのが苦しくなるはずです。それなのにご飯を口に入れるほど焼肉を食べれるようになるのですから、何か理由がありそうです。

糖質を食べると、インスリンがドバっと出て血糖値を下げるから空腹を感じるのでしょうか。それともご飯を食べると、何らかの快楽物質が分泌されて満腹の苦しみが和らぐのでしょうか。

理由はわかりませんが、満腹なのに白米を食べて食欲がわき、さらに食事を継続する行為は健康によろしくないように思いますね。

甘い物は別腹と言いますが、あながち迷信ではなさそうです。そして、別腹なのは、甘いものと同じく糖質が多く含まれる白米にも言えることなのかもしれません。

とりあえず、食欲を抑えたい人は白米を食べないようにしてはいかがでしょうか。

糖質制限で健康になったら歩いて交通費を節約。そして食費に充てる。

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米、パン、麺類など炭水化物(糖質)が多く含まれている食品を食べないようにする糖質制限を始めると、これまでよりも食費が増えます。

米も食パンも安い食品ですから、それらを別の食品に置き換えれば相対的に食費が増えるのは仕方のないことです。でも、上手に工夫して食費を抑えている人もいます。卵、レバー、鶏肉などは比較的安い値段で売ってますから、こういった食品を食べる頻度を増やせば、糖質制限をしていても食費を大幅に増やさなくて済みます。

また、多くの人が、糖質制限を開始すると高糖質食時代よりも健康になり体が疲れにくくなります。糖質制限で、せっかく健康的な体を手に入れたのですから、これを上手に利用して食費を節約しない手はないですよ。

駅まで歩く

私は、糖質制限を始める前から、自宅と駅との往復は徒歩です。片道で3千歩ほどあるので、往復6千歩ですね。時間にすると、往復で1時間弱です。

これだけの距離があるので普通ならバスを使うところですが、私は昔から歩くのが苦にならないので自宅と駅との往復にバスを使わないようにしています。一時期、仕事でノートパソコンや大量の書類をカバンに入れて持ち運んでいたことがあり、その時は、さすがにバスに乗りましたけどね。

最近は、あまりバスに乗らないので運賃がいくらなのかはっきりとは覚えていないのですが、220円か230円だったと思います。往復で、440円か460円です。糖質制限で元気になった人は、私のようにバスを使わないようにするだけで交通費を節約できますから、その浮いた交通費を食費に充てれば出費を抑えられるはずです。

ちなみに440円あれば、これだけの食品をスーパーで買えます。

  • 牛肉(豪州産)なら200グラム
  • 豚肉(国産)なら300グラム
  • 鶏肉(国産)なら450グラム
  • 鶏卵(国産)なら30個

3食、白米を食べていた方は、朝にゆで卵2個、昼に牛肉100グラム、夜に豚肉100グラムと置き換えても、浮かした交通費440円以内で収まるはずです。片道だけバスを使わなくしただけでも、牛肉と豚肉を鶏肉に代えれば220円以内に収まると思います。

鶏卵なんて、安売りの時は10個が110円くらいで売ってますから、往復のバス代で40個も買える計算です。鶏卵は栄養価の高い食品ですから、米や食パンを食べるよりも費用対効果が高いですよ。

電車代はさすがに節約しにくい

自宅から駅までバスに乗らないという選択はできても、駅から会社まで電車に乗らないようにするのは厳しいでしょうね。自宅から歩いて通勤できる距離に会社があれば電車代を浮かせますが、自宅の最寄り駅から3駅も4駅も先に会社があると、さすがに歩いて通勤できません。

仮に1駅だけ歩いたとしても、浮かせる運賃は20円くらいじゃないですか。20円でも節約できればありがたいですが、それを食費に充てるには少なすぎますね。

今回はバス代を浮かして食費に充てる方法を紹介しましたが、糖質制限を続けていれば、誰もがそのうち食費の節約の仕方がわかるものです。スーパーに行けば、たくさんの食品が並んでいますから、その中から糖質が少なく値段も安い物を探していれば、いつの間にか食費を抑えられるようになっていますよ。

ところてんにプロテインをかけて食べてみた。糖質制限を始めたばかりの人におすすめ。

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糖質制限を始めたばかりの人は、甘味が恋しくなって、コンビニなどでつい甘い物を買ってしまうことがあると思います。

私は、糖質制限を始めてから甘い物を食べなくなってますし、糖質制限開始直後も甘味が恋しいということはありませんでした。なので、自分から甘い物を食べようと思うことはないのですが、私のような人間は珍しいのかもしれません。

ケーキやパンなどで、低糖質食品が人気なのも、私みたいな人間が少数派だと物語っていますね。

ところてんを使って低糖質食品を作ってみる

今回は、糖質制限を始めたばかりの人向けにところてんを使った低糖質食品を紹介します。

スーパーに行けば、ところてんは100円くらいで販売されています。下の写真のところてんは、150グラムのところてんが2個入りですから、1個あたり約50円です。

ところてん外観

 

ところてんに含まれてる炭水化物は、100グラム当たりで0.6グラムです。おそらく炭水化物の全てが食物繊維です。

ところてんの原材料と成分

同封の三杯酢は、18グラム当たりで9.4グラムの炭水化物が含まれており、大部分が糖質と思われます。なので、三杯酢は、ところてんにかけずに別の用途に使うか、家族の誰かに利用してもらいましょう。

低糖質食品は、栄養価の少ないものが多いように思います。ところてんも、100グラム当たりタンパク質が0.2グラムと極めて栄養価の低い食品です。私は、間食であっても、栄養素をしっかりと補給したいので、このままところてんだけを食べるようなことはしません。味がないので、ところてんをそのまま食べる人はいないと思いますが。

 

ところてんには、プロテインをかけて食べるのがおすすめです。タンパク質をしっかりと補給できますから、低栄養な間食にならずに済みます。

明治のザバスというプロテインには、ココア味があり、割と甘味が強めです。私の舌での感想なので、薄いと思う人もいるかもしれません。でも、糖質制限を続けていれば、ザバスのココア味でも甘すぎると感じるようになるはずです。味が薄いと感じる人は亜鉛不足でしょうな。普段の食事で、牛肉をたくさん食べて亜鉛を補給しましょう。

ザバスココア味

 

ところてんを袋から出しました。

密封されたところてん

ところてんは、いったんざるに入れて水をしっかりと切ります。

そして、別の器に移し替えます。

器に移したところてん

 

先ほどのザバスココア味を付属のスプーンで1杯すくいます。

ザバススプーン1杯

スプーン1杯で約7グラム。タンパク質量は5グラムです。

 

ザバスココア味をところてんにかければ準備完了です。

ところテイン

このまま食べると、鼻息でプロテインが飛び散ってしまうので、しっかりとかき混ぜた方が良いです。

 

それでは実食。

ちょっとプロテインが少なかったかもしれません。味が薄めです。スプーン2杯だと多くなりそうですから、1杯半くらいが適量かもしれませんね。酸っぱい味がしますけど、このメーカーのところてんが、そういう味付けなのでしょうか。

ところてんは、体内で膨張するのか食後は満腹感があります。お腹に溜まる感じです。この感覚は米やパンを食べてた時代と同じです。

ところてんを食べたためか、翌日の排便は比較的スムーズでしたよ。ところてんが腸内にこびりついた汚れを吸着して、体外に出してくれていればありがたいのですが、どうでしょうか。

ザバスココア味の糖質量は、スプーン1杯で0.9グラムです。これなら立派な低糖質食品と言えるでしょう。2杯かけても1.8グラムですから、気にするほどの量ではないですね。

このプロテインかけところてんを「ところテイン」と名付けましょう。

 

プロテインは、いろんな種類がありますし味も豊富です。糖質制限を始めたばかりで甘味が恋しい方は、好みの味のプロテインを買ってきて、ところてんにかけたり、寒天に混ぜたりして食べてはいかがでしょうか。ただ、プロテインは結構な値段するのが難点ですね。近所のドラッグストアで、1,050グラムが約5千円もします。ところテイン150杯分なので、1杯当たりにすると約30円です。これくらいなら許容範囲でしょうか。

太らない体質に憧れるよりも中性脂肪を利用する状態になる方がダイエットには効果的

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どんなに食べても太らない人がいますよね。「太らない体質」とか「痩せ体質」と呼ばれている人です。

確かに食事量は多いのに太らない人はいます。でも、「太らない体質」や「痩せ体質」というものがあるのかはわかりません。また、筋トレをして筋肉量を増やすと、エネルギー消費が増えるので太らない体になれると言われています。これも、なんとなくは納得するのですが、食べる量が多ければ脂肪が体につくんじゃないかと思うんですよね。

太らない体質はあり得るのか?

さすがに際限なく食べ続ければ、誰だって太るでしょう。でも、大食いの人たちはスリムですから、必ずしも食事量が多いほど太るとは言えない部分もあります。大食いの人たちを太らない体質というのなら、そうなのでしょう。

では、ごく平均的な食事量の人が、大食いを始めたら太らない体質になるのでしょうか?

やったことがないので答えはわかりません。でも、誰もが大食いで太らない体質や痩せ体質になれるわけではないと思います。むしろ、大食いの人たちと同じ量の食事をすれば、ほとんどの人が太るでしょう。

大食いの人たちを見ていると、太らない体質は存在するように思います。でも、その太らない体質を人為的に作り出せるものなのでしょうか。筋トレをして筋肉量を増やせば、基礎代謝が増えて太りにくい体になると言われますが、大食いの人たちのような太りにくい体質とは少し意味が違う感じがします。

太りにくい状態を維持する方がダイエット向き

太りにくい体質を作ることに努力するよりも、太りにくい状態を維持する方がダイエットには適していると思います。

太りにくい状態とは、どういう状態でしょうか?

太ることを中性脂肪が体に蓄積することと定義するなら、中性脂肪が体に貯まらないようにすること、中性脂肪が貯まってもすぐにエネルギー利用できるようにすることが、太りにくい状態を作り出すために大切となります。

中性脂肪を貯めることも、中性脂肪をエネルギー利用するのを邪魔するのも、インスリンがカギを握っています。インスリンは、すい臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖を筋肉や脂肪組織に取り込ませる働きをします。筋肉に取り込まれた血糖はグリコーゲンとして蓄えられ、非常用のエネルギー源となります。また、脂肪組織に取り込まれた血糖は中性脂肪として蓄えられます。

血糖が筋肉にだけ取り込まれるのなら太りませんが、脂肪組織に取り込まれて中性脂肪になると太ります。なので、無駄に血糖が脂肪組織に取り込まれないようにすれば中性脂肪は貯まりにくくなります。血糖は炭水化物(糖質)を摂取すると増えますから、普段の食事で、米やパンなどの糖質が多い食品を食べるのを控えるとインスリンが過剰に分泌されなくなるので、血糖が脂肪組織に中性脂肪となって蓄えられることはありません。

また、インスリンが分泌されている時は、ホルモン感受性リパーゼの働きが抑制されて中性脂肪が分解されにくくなります。これについては以下の過去記事で説明してますので、ご覧になってください。

 

結局、中性脂肪が体に蓄積するのは、糖質を摂取した時にインスリンが大量分泌されることが原因です。大食いの人のようにどんなに食べても太らない体質を手に入れることよりも、糖質制限をしてインスリンが無駄に分泌されている時間を減らした方が、多くの人にとってダイエットを成功させやすいと思います。

糖質制限をしている限りは、中性脂肪が蓄積しにくい状態を維持できますから、実質的に太らない体質や痩せ体質になったのと同じです。世の中には、様々なダイエット法がありますが、最初に取り組むべきは糖質制限でしょう。

糖質制限で痩せない女性は鉄不足?

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男性は、米、パン、麺類、イモ類など炭水化物(糖質)が多く含まれる食品を食べるのを控える糖質制限をすれば、多くの場合、短期間に減量できると思います。私も、糖質制限を開始してすぐにお腹周りの脂肪がとれてすっきりとしました。

同じように女性も糖質制限をすれば、簡単に痩せそうに思うのですが、どうも思うように脂肪が減っていかない方がいらっしゃるようです。男女で体のつくりに違いがあるから、糖質制限の効果にも違いが出るのかなと思ってました。でも、女性が糖質制限をしても痩せないのは、どうやら鉄不足も関係しているように思えます。

ATP産生に欠かせない鉄

体についた脂肪を減らすためには、何らかの形で脂肪を取り除かなければなりません。美容整形で脂肪吸引するのも一つの手ですが、日常生活ですぐにできることは、脂肪をエネルギー利用して減らすことです。

人間にとってのエネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)です。人間に限らず生物は、ATPを生体内のエネルギー通貨として利用し、生きていくための様々な活動に利用しています。

体に蓄えた中性脂肪をエネルギー利用するためには、脂肪酸のβ酸化から作り出したアセチルCoA(コーエー)をオキサロ酢酸とくっつけてクエン酸にする必要があります。そして、クエン酸からは、ビタミンB群などの助けを借りて、NADHやFADH₂といった電子伝達体が取り出されます。電子伝達体は、さらに電子伝達系に運ばれ、水素やら酸素やらが働いてドカーンと大きな化学反応が起こり、大量のATPが作られます。

ちなみにこれらの仕事は、細胞内にあるミトコンドリアが担っています。

要するに体に貯め込んだ脂肪は、ミトコンドリアでATPを作り出す材料として使い、そのATPを日常の活動で消費してしまえば減っていくわけです。

ミトコンドリアが大量のATPを作り出す電子伝達系では、鉄がなければなりません。もしも鉄が不足していると、電子伝達系でドカーンと化学反応を起こせませんから、脂肪からATPを作れません。精神科医の藤川徳美先生の著書「うつ・パニックは『鉄』不足が原因だった」にこの辺りの解説が簡潔に載っていますので紹介しておきます。

電子伝達系では、酸化的リン酸化という変化が起こります。これを行うためのNADHやFADH2が、ここでは水素イオンのモーターの回転を受けるなど複雑な代謝を経て、最終的に、クエン酸回路と電子伝達系で、ATPは合わせて36個作られます。大切なのは、この電子伝達系の働きの中に「鉄が必須」であるということです。(126ページ)

藤川先生の著書では、グルコース(ブドウ糖)からのATP産生の説明になっているので、36個のATPが作られるとなっていますが、脂肪酸(パルミチン酸)から作られるATP量は129個です。少々難しい文章になっていますが、ミトコンドリアでの大量のATP産生には鉄が不可欠だということが理解できれば問題ないでしょう。

現代日本人女性はほとんどが鉄不足

藤川先生の著書を読むとわかりますが、現代の日本人女性のほとんどが鉄不足に陥っています。日本人が好む食事には、鉄があまり含まれていないからです。それなら、日本人男性も鉄不足になりそうなのですが、ここに男女の違いがあります。

女性は、月経があるので男性よりも失われる鉄の量が多いです。だから、同じような食事をしていても男性より女性の方が体内の鉄が不足しやすいのです。一般的な血液検査では、ヘモグロビンの値を計測して、体内の鉄の量を調べます。多くの場合は、男女ともに基準値内に収まるので鉄不足はないと診断されます。

でも、藤川先生は、ヘモグロビンだけでなく貯蔵鉄がどれくらい体内にあるかも調べなければ、本当に鉄が足りてるかどうかはわからないとおっしゃっていますね。貯蔵鉄は、フェリチンとも呼ばれます。一般的な基準では、フェリチンは、男性で21~282ng/ml、女性で5~157ng/mlとされてますが、藤川先生は男女とも100ng/mlを目標値としています。

藤川先生の基準値に従えば、閉経前の女性は99%がフェリチン不足、すなわち鉄不足になるそうです。男性だと、フェリチン不足の人は女性よりも少ないですが、それでもフェリチンが100ng/mlを超えている人は全体の半数ほどです。

ただ、男性は30ng/ml未満の人は数%しかいませんから、重度のフェリチン不足に陥っている人は少ないです。閉経前の女性だと、70%くらいはフェリチンが30ng/ml以下ですから、ちょっとしたフェリチン不足では済まないですね。

鉄補給にレバーと煮干しもおすすめ

藤川先生の著書では、フェリチン不足の方に鉄のサプリメントの使用をすすめています。

また、普段の食事では、植物に多く含まれている非ヘム鉄では吸収率が数%と低すぎるので、動物性食品から鉄を摂取すべきです。動物性食品に含まれている鉄はヘム鉄が多く、吸収率は10~20%です。藤川先生の著書では、女性が1日に失う鉄量は1.35mgということですから、ヘム鉄で6.75~13.5mgは摂取すべきですね。鉄は赤身の肉に多く含まれていますから、鶏肉よりも豚肉、豚肉よりも牛肉の方が鉄補給はしやすいです。

鉄と言えば、このブログではレバーをおすすめしています。レバーは、鉄以外のミネラルも豊富ですし、ビタミンの含有量も多いです。特に豚レバーには鉄が多く含まれていますから、女性は10日に1回100グラム程度食べると良いと思います。

 

他に食べる煮干しも割と鉄が豊富に含まれています。間食で10グラムほどの煮干しを食べれば約1mgの鉄補給ができます。また、非ヘム鉄ではありますが、青のりにも多くの鉄が含まれているので、おかずにレモン汁と一緒に振り掛けて食べるのもありですね。

 

長々と書いてきましたけど、ここまで読めば、女性が糖質制限をしても思い通りに脂肪が減らない理由がわかったと思います。

脂肪をエネルギー利用するためには、鉄が必要です。そして、若い女性は鉄が不足しやすいです。だから、鉄を摂取せずに糖質制限をしても痩せにくいんですね。

糖質制限をするにしても、肉、魚、卵中心の食事にしなければ、良い結果が出にくいと思いますよ。

参考文献

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